第67話 帝国兵器
「そんなもので俺を倒せると思うか?」
「まだ、分からないね。別にこれが効かなくても、俺にはまだ札が何個もあるからな」
レイヤは呪魔ノ剣を先端に付けた鎖をブンブン回しながら、サガに踏み込んだ。そして鎖を付けたことに呪魔ノ剣は長いリーチとなり攻撃範囲が広がる。身体をクルリと回して力一杯に呪魔ノ剣をサガに襲わせる。
「そんな、機動力ない攻撃でどうするんだ?」
サガは軽く避けて、壊れない呪魔ノ剣が厄介な事からレイヤの手元から遠ざかる為に、腕を鋭く砂の刃を変化させて鎖をぶった斬ろうとした。
「バカが、一発で引っ掛かるんじゃねぇよ」
鎖が斬られる事はなく、反動でクルクルと鎖が腕の刃を巻きつこうとする。
「こっちの来い」
すると短剣が自分からレイヤに向かって飛び込む。そしてレイヤは短剣をキャッチして両手で鎖を引っ張ってサガの腕を拘束している鎖を締める。
「こんな鎖!」
サガは自分の腕を砂で大きくするが、鎖が壊れる事はなかった。そして、腕から魔力が吸われる感覚が走る。
「なるほど、こいつは呪具か」
「ご名答。そんな当てたアンタにはなまるを授けよう」
「呪具だと?!あんなに軽々と呪具を扱っているのか?!なんて命知らずの男だ!」
レイヤが持っている鎖が呪具だと分かったマグナは驚くのだった。呪具は強力な武器だが、それを使えば死に至る武器と言われている。そんな代物を使っている人間は自殺行為にしか思えないのだ。
「他者の魔力を吸う呪具か。B級指定呪具『屍鬼天狗呪鎖』か。なるほど、お前が持っていたのか」
呪具を使っている持ち主を殺す事があるが、その代わり強力な力を出す武器。そんな武器を政府は野放しする訳がなく、威力と効力によって業物と同様にC、B、A、Sの等級に分けられている。
「だが、能力は鎖は無限に伸びるが鎖が伸びれば伸びる程自信の体重が重くなり最終的に耐えきれなく押し潰されるのと、他者の魔力を吸う代わりに、自分の魔力も吸われられる能力のはず。鉄や鋼でさえも紙の様に斬れる俺の刃でさえ斬れるはずだが...こんな頑丈な鎖と言う情報はないぞ?」
「良くも知らない癖に勝手にB級扱いしてるんじゃねぇ。コイツはB級にしちゃいけねぇ呪具だ」
「そうか。こいつが斬れないなら、俺の腕を斬れば良い」
サガは自分の腕を千切って拘束から投げ出した。
一瞬レイヤは驚くが、ちぎれた腕が砂となりサガに向かって腕が再生したのだ。
「本当厄介な魔法だな」
「それで、次はどうする?もう、終わりか?」
「そう焦るなって。たっぷり堪能しようか」
レイヤは刀の先端をサガに向けた。
そしてその頃、クロエ達は城を出て街の中に入っていく。
「おい!アレはレクタールの者じゃねぇか?本当に現れるとは!囲め!!アイツらは罪人だ!」
すぐに兵士たちに見つかってしまい、何十人の兵士に囲まれてしまったのだ。そして、兵士の中からハクケンが現れる。
「やっぱり、お前が仕業か。クソ元国王...ネクラ」
「?!」
クロナがハクケンに対して、前国王であるネクラと言う名前を呼んだ時、クロエは驚いたのだ。あの時戦った魔導師が、まさかの元国王とは誰も気づく訳がない。
「久しいぜよ。クロナよ」
「人の名前を気安く呼ばないでくれる?それに、その変な語尾やめて欲しいんだけど。気持ち悪くてしょうがない」
「ん?これが剣士独特の喋り方だと思ったが、違うのか?」
ハクケン...ネクラは結んでいた髪を解き、ベネチアンマスクをつける。クロエでも一度や二度も見た事がある前国王の姿だった。
「そもそも、パンダからの情報でおかしいと思ったのよ。なんで、この海岸で名が知られている中尉でもある魔導師の下に魔導師の兵が居ないのがおかしいのよ。わざわざ中尉と言う権力を使い、魔導師達に悟られない様に何をしようとしている?」
「支配さ!この国だけじゃない。いずれ、東を支配し、最後にはこの世を支配するのさ!だから、この国は犠牲になってもらう。私のバカ息子がバカやっているおかげで動きやすくなった」
ネクラはスイッチのような物を懐から出して、そのボタンを押した。すると地震が起きて城が爆発するのだった。爆発の煙の中から、何かが向かって来た。
「パンダ!早く街の住人を避難させなさい!この国は何が起きても夜は家から出ては行かないって掟のせいで、街の人たちは何が起きているのか知るよしもない。レクタール家の貴方なら街の人達を動かせる。頼んだわよ」
「はい」
パンダは頭を軽く下げてクロナの命令を実行した。
そして、城の後ろから全長5メートルぐらいの人型の機械が現れてシラヌの背後に着陸する。そしてシラヌは機械の中に入る。
「帝国式機動戦闘機。帝国から譲り受けた物を堪能しよう」
「アレが噂の...帝国が作った兵器...たった一機だけで兵隊100人分と匹敵するレベルも言われいてる。クロエ!貴方は逃げない!こいつは私が引き止めるわ!パンダと合流したら、まずはお兄ちゃんを探しなさい!」
「ママ!ボクにレイヤの顔に泥を塗らせる気?レイヤに任されたんだよ。副魔長の命令を真っ当するのが仲間の役目!」
「なら、それより上の魔長命令。クロエ、お前は自分達がやろうとしている事をやって。こいつはアタシがやる」
「お、お前は!」
いつの間にか機体の肩に立っていたリンがいた。
自分でも肩に立たれていた事に気づいていなかったシラヌは驚いていたのだ。
ドキッ、ドキッ!
「アタシは倒すって言った。言った事は最後までやる。それがアタシのやりかた...早くやろうよ。燃え上がってしょうがないんだ」
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