第56話 老人の剣士
「...心配...お願いレイヤ達じゃないと願いたい。ボクの為に、あの人達が死ぬのは嫌...」
クロエはどうしても暴れている3人組が誰なのか気になって居た。
「気になるのか?」
「うるさい。お前に関係ない!」
「へいへい」
「(ここから抜け出したい。ボクの実力じゃ、サガから逃げる事はできない)」
そして、その頃リン達グループは城の中に潜り込んでいた。リンは直感で廊下を走って居た。
「こっち!」
「だ、大丈夫かな?」
「まぁ、どこ行けば分かりませんからね。ここはリンさんの直感を信じてみましょう」
「...?、なんかここおかしくない?」
「何がです?」
リンは足を止めて、大きな絵画をジッと見る。
「うーん、なんか違和感が?よし!壊してみよう!」
「ちょっ!リンさん?!」
すると、リンは龍剣を抜いて絵画を切り飛ばした。そこにあったのは鉄格子だった。何故こんな隠す様に鉄格子があるのか気になる。
「隠し部屋でしょうか?ですが、何故こんな所に隠し部屋があるのでしょうか?こう言うのは王様の部屋の中にある物のはずなんですがね」
「まぁ、入ってみよう!何かある気がする!」
「こんな所にクロエさんはいるのでしょうか?」
「居なかったら、他の所を探すだけ」
「だ、大丈夫かな?」
リンが鉄格子のドアノブに触れようとした瞬間。
「おっと、お嬢ちゃん方。そこはお入りしない事をお勧めするぜよ」
そこに居たのはフウカを人質に取った老人が居た。
手には刀を持って居た。
「見つかっちゃった」
「やはり、真っ正面に暴れている賊はブラスだったぜよ。目的は手薄に城に忍びこむ事か...」
「最悪ですね。時間がないのに、見つかるなんて...」
「フウカ、時間の心配しなくても良いよ。レイヤが、クロエを見つけるまで暴れてるって言ってた。だから、時間の心配はしなくて良いって」
「なら、必ずクロエさんの所まで辿り着きましょう!」
フウカは黒鉄のガンとレットのレックガードを装備する。
トルカの為に、わざわざ特注として作られた四級業物、黒鉄装拳と黒鉄装足。だが、トルカは必要ないと倉庫の奥にずっと眠って居た物。黒鉄の強みはその頑丈と裏腹にゴムの様な性質でサイズの調整もできる代物。そして重さはほとんど感じる事もない。
「ほーう、争うのか?悪いが、私は女子供にも罪人ならば容赦はせんぜよ?」
「ごめんね。なら、こっちも3人はいるけど、3人同時に容赦なく行くから!兇変・顎門!!」
無数の大中小の威力の斬撃を前方に空間を埋め尽くすように、剣士の老人に飛ばす。
「ほーう、凄まじい剣技だ。どれほどの努力を重ねてきたと言うんな」
だが、剣士の老人は軽くいなす。
「名を聞かせてくれぜよ。剣士よ」
「嫌だね。お前みたいにクロエを悲しめ奴に、名乗りたくない」
「そうぜよ。なら、私が一方的に名乗ろう。私はハクケン、お主らを殺す名だ」
「やってみな。アタシがいる限り仲間を殺させはしない」
リンは龍剣をハクケンに投げる。
ハクケンはリンの龍剣を弾き返すが、一瞬リンから目を話し事に、リンはハクケンの真正面までに近づいていた。
「おらぁ!」
リンはハクケンを蹴り飛ばす。
刀で攻撃を防ぎ、バックステップで威力を和らげる。だがハクケンが後ろに下がった事に、フウカが背後に回り込んでいた。フウカはハクケンの背中に向かって殴る。
「おお、おっかねぇぜよ」
ハクケンは素早く刀を背中に回しフウカのパンチを防ぐ。
「フウカ!そのまま抑えて!」
「了解です!」
フウカはハクケンの服を掴み体勢を崩す。
その間に龍剣を掴んだリンが、ハクケンに攻撃をする。だがハクケンは足でリンの手を止めて剣は届くことはなかった。
「甘いぜよ」
ハクケンはフウカの手首を掴み、振り回しリンに飛ばす。
「まだ若いのう。全ての攻撃が単純ぜよ」
「えいっ!」
「っ?!」
シャーロットは薙刀をハクケンに向けて薙ぎ払う。距離が近かったのか刃にではなく、棒に当たるが、初めてこの戦いでシャーロットがハクケンに攻撃を与えた。
「(気付かなかった。一切殺意を感じない?いや、それでもおかしい。実力のある者は殺意を完全に断つ事が出来るが、攻撃をする意思や動作で気配は感じられるはず...)」
「ひぃ、ご、ごめんなさい。わ、私の様な人間の攻撃が当たらないと、お、思っていた...居ました。で、でも、ら、ラッキーパンチですかね?ふへへ?」
「ナイス!シャロさん!」
「ちっ」
シャーロットに意識を向けてた事に、接近してくるフウカとリンの攻撃が飛んでくる。ハクケンは2人の連撃を全て弾き返す。だが、一つの攻撃、薙刀の先端の棒がハクケンの腹部に飛んで来た事に気づけなかった。
「ガハッ」
「や、や、やった!ま、またラッキーパンチです!」
「これはまいったぜよ」
ハクケンは一旦3人から距離を取る。
だが、リンとフウカはハクケンに回復の隙を与えずに攻撃をする。
「へ?ま、待って!!わ、私をこんな所で、お、置いて行かないでぇ!」
ハクケンを置いかける2人を、シャーロットは置いてかれたと思い慌てながら追いかける。ハクケンは遊び感覚で退治しようとしたが、思いがけない出来事で作戦を改めるのだった。
「(思ったより、赤髪の嬢ちゃんと黒髪の嬢ちゃんの実力があって簡単に倒せないぜよ。だが、極め付け厄介なのは、あの白髪の嬢ちゃんだ。1回目の攻撃から白髪の嬢ちゃんに、意識を向けて居たはずなのに攻撃が当たった。考えるぜよ、何故あの白髪の嬢ちゃんの気配が感じられない?いや、性格には途中で気配が薄くなり消える...)」
「なら、やるべき事はあの白髪の嬢ちゃんを先に倒す事ぜよ」
そしてハクケンは追いかける2人の間を潜り、後ろに入っていくシャーロットに飛び込む。
「へ?!ちょちょ、ちょっと待って!!」
ハクケンの刀の刃がシャーロットの首に届こうとした瞬間、シャーロットは氷壁を作って防ぐ。反撃で氷の壁に薙刀の刃が入るぐらいの穴を開けてハクケンの頬を斬った。
「フハハ!なるほど1番強いのは気弱そうなお主だった様だな!!この私に一撃を入れるなんて、あっぱれぜよ!」
「シャロさん、そんな高等技術を使えるのすか?!」
「う、うん!わ、私は、水の元素の派生、氷の元素を得意としている...います」
「おしゃべりは終わりですか?!」
ハクケンは体を回転させて、フウカとシャーロットに斬撃を飛ばした。フウカは避けて、シャーロットさ氷の壁に隠れて防いだ。
「面白くなってきたぜよ!」
ハクケンが攻撃をしようとした時、ハクケンからピリリリっと音が響く。懐から電子機器である携帯を取り出した。
「なるほど、分かりやしたぜよ。今すぐそこに向かうぜよ」
ハクケンは刀を鞘の中にしまう。
「まだ、続けるのであれば、次は殺す勢いでやるぜよ。まぁ、そこはお主たちに任せるぜよ。逃げたければ逃げるぜよ。今は王の命を守る事が最優先」
それだけ言い残しハクケンはどこかに消えていったのだった。
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