第46話 フウカ対トルカ
スイリューと、褐色肌に白髪の短髪の赤い瞳の男、シラヌと睨み合っていた。
「お前は確かタラタキの後ろに引っ付いている男だな。確か、名前はスイリューか」
「ほーう、私などの名前を知っているとは、有名になったものですね」
「いや、普通に司会者が何回も言ってたからそこで覚えた」
「そうですか」
シラヌ対スイリュー、お互いは睨み合っていた。
そして司会者の試合が開始の合図が放たれたが、お互いは動こうとはしなかった。
「...動かないのですか?なら、私から行きますよ?」
「来いよ。アレの取り巻きなんだろ?お前の強さを見せてくれよ。最強が認めている男の強さを味合わせてくれ」
「そうですか、なら見せてあげましょう。武を極める人間の拳を」
「それでは!手刀使いスイリュー
試合が開始したと同時にスイリューは飛び込み、突進してくる勢いを使い手刀でシラヌに攻撃する。手刀は肉に埋もれる程の威力で胸筋に当たった。
「あー?こんなもんなのか?これは気持ち良くねぇ」
「...」
スイリューは次々と手刀で攻撃をするが、全ての攻撃を喰らっていないか様にシラヌの顔色ひとつ変わらなかった。
「こんなもんか?手刀ってこうするんだな」
シラヌはスイリューと同じ様に手刀を構えて、そのままスイリューの首に向かって振り下ろした。その威力首の骨が砕ける程の威力だった。
「カハッ!」
「弱いな...」
スイリューはその場で崩れ落ちて動こうとはしなかった。
審判がスイリューがヤバい状況だと判断して、すぐに試合を終わらせてそのまま医務室に運ばせる。シラヌは退屈そうに会場を後にするのと、フードを被っている人間に話しかけられる。
「シラヌ、遊びは終わりだ。どうやら、この会場に彼の方の婚約者がいるそうだ。そいつを確保する命令が出た」
「あー?次であの男の拳を味わえるんだぞ?!」
「遊んでいる暇がない。我慢しろ」
「クソが」
そして2人はその場から離れるのであった。
次の試合はタラタキ対エージ=ルー。
「(スイリューのやろう、大丈夫か?この大会の為に控えている医者は凄腕だから、死んでいない限り大丈夫だが...あのシラヌ、結構強いな)」
「まさか、元拳王と戦えるなんて嬉しいものだね。貴方が消えた事本当悲しかったよ。この手で拳王を倒せなかった悲しみがな!」
エージはタラタキに踏み入れる。
そしてタラタキの心臓の上にある筋肉を殴った。
「これは、心臓麻痺を起こさせる技だ。これで元拳王から敗北者に堕ちる。安心しろ一時的なものだから死にはせん」
「...そんな威力で俺の心臓まで衝撃が届くか?それにパンチは普通に殴るからこそ漢だ。心臓を麻痺させる技術とか、漢気がない奴がやる事なんだよ」
たった素早い一撃だけで、エージは地面に叩きつけられていた。
一撃KO!!エージはけして弱い拳闘士ではないが、一撃でやられた事は、彼にとって人生初だったのであろう。そしてその次の試合でも同じ事が起きていた、レイジーを名乗るレイヤ対アジュ=プルペン。これもまたレイヤが一撃KOで終わらせた。
「す、すごい!2回戦目の今の所、一発KO!!なんて事なんでしょう!こんな圧倒的なバトルが続いても良いのか?!そして、今日最後の試合女戦士フウカ=ナーベ対飲んだくれトルカ=オドレル!!それでは試合開始!!」
「お?お前よく見るとあの仮面野郎の連れの女だよな?」
「その節はどうも。すみませんが、ここは勝たせてもらいますよ」
「あ?俺に勝つ??本当あの男と一緒にムカつく野郎だな。この俺に勝つ人間なんぞ、この世にいねぇんだよ」
「そうですか。なら、その認識を改めさせて貰いますよ。この世に最強なんて居ないのですよ。いや、もし居たとしたら...」
フウカは頭の中で白髪の男と赤髪の女の姿が浮かぶ。
「天武四式・羅羅流星界群!」
フウカはトルカの間合いを詰めて、超スピードな連激を放つ。
「痒い...やっぱり、弱いぇぇ!!あの時邪魔しえ入らなければ、テメェの男を、テメェらの前で潰しせば良かったぜ!!」
「なっ?!」
トルカはフウカの身体に目掛けて蹴りを飛ばす。
フウカは咄嗟に腕で防御するが、フウカが飛ばされる以上のスピードでトルカは後ろに回り込み背中からラリアットをする。
「ぐっ?!...天武六式・
「ほぉー」
フウカは手刀でトルカの胸に切り傷を付けた。
自分の身体を傷つけられた事に関心する。
「流石ですね。敵でありながらその鍛えられた筋肉は硬い...口は悪いですが努力はしているようですね」
「(ですが...何故、こうも隙が多いのでしょう。動きが素人に近い)」
「努力??何を言ってるんだ?それは凡人がやる最後の悪あがきだ。俺は鍛えた事なんぞねぇ!!この身体は生まれつきだ!」
「...」
フウカはトルカの言葉を疑う。
フウカの目を見たトルカはニヤリと笑う。
「疑ってるな?嘘は言ってねぇ。俺は天才だからな。努力なんぞしなくても最強になれる天才だ。お前の様な羽虫に負ける訳がねぇ。あの男も同じだ。複数の女に囲まれ守られる男なんぞロクでもねぇ」
「ロクな男ではありません!!あの人は偉大な人です!あの人を侮辱する真似をしないでください!」
「あ?何怒ってるんだ?...良い事思いついてしまった」
トルカは不気味な笑みを浮かべる。
そして周りを見渡し、レイヤが視界の中に入った。
「そこにいるな?なら、味わえ。テメェが俺を恥をかかせた事を後悔するんだな。テメェの女が恥を晒す姿をそこで噛み締めてろ」
トルカは速いスピードでフウカの後ろに回り込む。
そしてフウカの頭を鷲掴みにして、地面に叩きつけた。
「ガハッ!」
「女は顔が大事なんだろ?!」
そして何回も何回もフウカの顔を地面に叩きつけるのだ。
フウカは抵抗するが、岩の様なトルカの腕を引き離すことはできなかった。それを見ていたレイヤは怒りが込み上がる、フウカを助けようとクロエ、リンは立ち上がる。だが、目の前にトルカと一緒にいたスネイが現れる。
「お辞めなさい」
「どいて、フウカを虐める男を懲らしめる」
「なら、やってみて下さいよ。その時はこの栄光なる大会を邪魔した罪人として、この島...いや、この世界にいる武人や魔導師達を敵に回しますよ?」
「あの男、許さない。フウカを虐める奴を懲らしめる」
「...どいて」
「良いのですか?これはトルカの思う壺ですよ。あの小娘を仲間だと思うならその怒りを鎮めるべきです。これは貴方達と娘のために言ってるのです」
スネイには敵意が無いと分かる。
だが、リンとクロエの怒りは膨れ上がるのだ。
そして、レイヤは2人の肩にポンッと手を置いて止めるのだった。
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