第45話 友達


「お二人の一回戦を突破に乾杯!本当素晴らし試合でしたよ。あの実力で剣士なのは、驚きなものだ。なぁ、レイヤ君...いや、レイジー君と呼ぶべきか?」


「いや、まさかこんな沢山の料理を振る舞ってくれるとは、嬉しいモノです」


「だから、敬語は辞めてくれよ。貴方は私の恩人なんですから」


「そうだったな。カネアゲ」


 レイヤとフウカの試合をVIP席で見ていた、カネアゲはレイヤ達を食事に招待してくれた。高級な食材が多く並んでいて、どれも美味しいものだった。


「レイヤ様!お会えて嬉しいです!」


アマリーはレイヤの腕に抱きつく。


「ねぇ、レイヤ。そいつ誰?」


「え?一回船に会っただろ?」


「んー、覚えてない。でも、なんか嫌だ!レイヤの隣はアタシが良い!そこ変わって!」


「はぁ〜しつこい女も嫌われますからね。どうぞ」


アマリーはしかたなく隣の席をリンに譲る。

去り際にアマリーは残念そうに、リンとクロエとフウカを見渡す。


「(うーん、レイヤさんは顔が良くて強い人でドタイプなんですけど。あの3人には敵いませんね。半端な気持ちで行ったら痛い思いをしそうです。勿体無いですが、諦めるべきですかね)」


「2回戦目は明後日からなんだよな?明日はこの街を観光してみたい。なんかおすすめな場所とかあるか?良かったら案内してくれると嬉しい」


「なるほど、ならば案内いたしましょう!...っと、言いたい所なんですが、こちらも明日は忙しくてご一緒に同居は出来ないのですよ」


「そうか、それは残念だ」


「でしたら、こちらの者を任させても構わないか?彼女はこの街の生まれだから、詳しいぞ...シャーロット!入りたまえ」


「シャーロット?」


どこか聞いた事がある名前だった。

カネアゲが呼び、入ってきた少女は銀髪の少女だった。


「は、はいぃ?ど、どうしました?」


「あっ!シャーロットって、やっぱりお前か!」


「ふぇ?あっ!あ、貴方は、た、確か!こ、怖い人!」


「なんだ、2人とも知り合いだったのか?」


昨夜トルカと争った時に止めに入ったシャーロットだった。

シャーロットはプルプルと震えながらレイヤに怯えていた。


「え、えっと!えっと、私はシャーロット= ジャスラトス!せ、世界一のゆ、勇気のある戦士を目指す為に、こ、この島を守る警備団です」


「世界一か...なは、俺はレイヤ=カグラザカ。夢は世界一強い魔導王になる事だ」


「じゃ!アタシは世界最強の剣帝になる女、リンだよ!」


「バカ!」


「え?剣帝になるのかい?」


「ん?あっ!い、いや!」


 シャーロットとレイヤが1番の夢を語った事に、正直者のリンは自分の夢まで語ってしまった。剣帝は魔賊の中で最強の剣士に与えられる称号。剣帝を目指す者は魔賊と捉えられるのだ。


「いや、違う!剣帝じゃなくて、えっと剣聖だ!言い間違えだよな?」


「アタシはそんなの目指してない」


「リン〜」


「フッハハハ!良い良い!実はそうは思っていたのだよ。旅人にしちゃ荷物も少ないし、身を守るとは言え、そんな業物の武器を所持しているとは思えない。もしやとは思ったが、今の発言で確信したわ」


「正体はバレたけどどうする?」


 せっかく仲良くなったカネアゲと、敵対同時になる事にレイヤは残念そうになる。自分の軽はずみな発言を反省するのだった。


「いや、どうしようもしないさ。そもそも、レイヤ君は私の恩人だ。恩人を魔導師に引き渡す訳には行かないだろ?それに、私は見る目が良いんだ。君達はそこら辺の魔賊とは違う」


「そうか。それは良かった」


敵対同士にならない事にレイヤは安心するのであった。

 そしてレイヤ達はカネアゲのご馳走を堪能するのであった。

次の日、大会の休みに息抜きとしてレイヤ達はラグブルグ島を観光するのだった。


「れ、レイヤ君。あ、あのー」


シャーロットに色々と、案内をされ楽しく観光をしていた。

そしてシャーロットはレイヤに質問をする。


「ご、ご満足致しましたか?」


「おう!楽しかったぞ!」


「そ、それは良かったです!私の様な人間が、誰がを導くなんて悍ましいと思っていましたが、楽しめたのなら大丈夫ですね」


「結構自分の事酷く言うんだな?」


「私は良い人間じゃないですから。いつも1人、ゆ、友人と呼ばれる人もいなく、唯一の家族だったお婆ちゃんとは離れ離れになって、し、しまいました」


「友人か...アマリーとかは友達じゃないのか?」


「よ、良く話しますが。し、仕事相手だけです...」


多分、あっちは友達だと思ってるんだろうな...でも、それを言ったって信じてはくれなそうだな。


「ならさ...」


レイヤはシャーロットと両手を握る。


「俺と友達になってくれないか?」


「と、友達?」


「うん。俺はシャーロットと友達になりたい。シャーロットは嫌か?」


「と、友達...えへへ、い、良いですよ。と、友達。れ、レイヤ君とはお友達です。なら、シャーロットではなく、友達らしくロッティいや、シャロ...なんか、友達らしいニックネームなどと、よ、呼んだくれると嬉しい...です」


「じゃ、シャロ」


「うへへ、れ、レイヤ君...こ、これが友達同士の会話か」


シャーロットはクネクネと嬉しそうにニヤけるのだ。


「「(スケコマシ...)」」


な、なぜかフウカとクロエの視線が痛い?お、俺なんか変な事言ったか?


「わぁー!レイヤだけ、ズルい!なら、あたしもシャーロットとお友達!!シャロって呼ぶね!」


「うへへ、お友達2人目出来た!」


「2人目ではありません」


「4人目...ボク達もシャロの友達」


「きょ、今日は4人も友達が出来た!」


シャーロットはプルプルと震えながら嬉し涙を流すのだった。

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