第11話 宴だぁ!

「この船を守った、3人に祝福をするぞ!宴だぁ!」


「「「「「おおおおぉ!!!」」」」


 ヘーストの掛け声で従業員達は酒が入ったコップで乾杯をするのだった。グラトニー魔賊団との戦闘時に従業員が隠れて通報してくれた。魔導師の艦隊がやってきて引き取ってくれたのだ。その時のグラトニーの懸賞金と船の中にあった一部の財宝を貰えた。


「これほぼ貰っていいのですか?一応この船に被害もあるし、ヘーストさんにも貰う権利が」


「いや、良い!これは君たちが貰うべきだ!」


「ヘーストさんが、そう言うならありがたく頂戴いたします」


「おう!貰えるものは貰っておけ!


そしてレイヤは骨つき肉をかぶりつく。


「美味いですね。この肉」


「それは、君のお仲間さんが作った料理だ。こんな美味い飯、初めてだぞ」


 レイヤの目の前にある料理はフウカが調理したものだった。フウカの料理の腕は相当なものだと分かる。


「それにしても、君達魔導師でもないのに、強力な魔法に驚いたよ。3人とも素晴らしい魔導戦士だった」


 この世界には2種類の魔法の戦闘スタイルが存在する。リンやフウカの様に自分に合った元素で身体や武器に纏わせて強化したり自由自在に操る魔導戦士スタイル。


 二つ目は詠唱で強力な魔法を放つ詠唱魔法が存在する魔導詠唱スタイル。魔導戦士スタイルは自由自在に操る事が出来るが、尖った威力や碳壊力、スピード、距離は詠唱魔法と比べて劣るのだ。魔導詠唱スタイルは操作魔法より強力な魔法を放てるが発動時間が長くなる。そして、詠唱魔法にも第八階位に部類される。


第一階位魔法

第二階位魔法

までが初級魔法と言われ詠唱が短いかく魔法を発動出来る。


第三階位魔法

第四階位魔法

までが中級魔法と言われ詠唱が少し長くなるが強力な魔法を放てる。そして一般な魔導師が到達できるレベルだ。


第五階位魔法

第六階位魔法

までが上級魔法と言われ詠唱が物凄く長い代わりにより強力な魔法が放てるのだ。二つ以上の性質の魔法を融合させる魔法が多い。最上級魔導師が到達できるレベルと言われている。


第七階位魔法

第八階位魔法

までが最上級魔法と言われ、詠唱が物凄く長く殆どが複数の性質の魔法を融合して超強力な魔法を放つ。詠唱が長く消費する魔力量が多いため複数の最上級魔導師が力を合わせて発動する。


そして第九階位魔法と第十階位魔法あると言われているが誰も使えなく失われた魔法、古代魔法と言われている。


「そう言えば君達がザファーレストに行く理由はなんだ?」


「ん?旅目的ですよ。あそこは盛んじゃないですか」


 レイヤは口いっぱいに料理を入れて、ヘーストの質問に答えるのだ。


「そうか。レイヤ君、魔賊としての旅は楽しいか?」


「え?」


「君たちは魔賊なんだろ?」


その言葉にレイヤは思わず、手が止まるのだった。


「大丈夫だ。俺はもう引退した身だ。今更捕まえようなんて、それに助けた恩人を捕まえるほど身の程知らずじゃね」


ヘーストはゴクゴクと酒を飲む。


「な、なんで分かったのですか?」


「その前に、もう敬語は辞めてくれ。君は恩人なんだ。対等な関係でいたい」


「ああ、分かった」


「ありがとう。まぁ、簡単に言うと旅人としては荷物が少なすぎる。それにもう一つは、お前さんの仲間が剣帝になる!って言葉が聞こえちまったんだ」


「リンか...」


「そんで、そんな魔賊のレイヤ君に気になる事があるんだ。あの美食屋の2人の質問に1236期生と答えたんだろ?その時の教授の名前を言ってみろ」


「ムラサベ、リンべ、ベストだよな?」


「なら、俺の名前は?」


「...ヘーストさん?」


「フハハハハッ!やっぱり、そうだよな!」


「?」


 いきなり高笑いしている事にレイヤはクビを傾げる。


「俺には古い友人がいてね。そいつは良く腰を痛めるんだよ。今から約4年前、試験官にも関わらず腰を痛めてこの俺がソイツの名前を借りて代わりに試験官をやったんだ。ソイツの名前がベスト。レイヤ君が受けた年は俺が担当したんだ。俺の顔を見てピンと来てない様だね。何故、その情報を知っているのだ?」


「...まさか、試験官様が居るとは思わなかったよ」


 1236期生の時の試験官が、目の前にいた事にレイヤは驚くのであった。ヘーストは元魔導師として、何故情報が漏れたのか純粋に気になっていた。


「俺の友人から聞いたんだ。そいつが1236期生の卒業生なんだ。ただ、魔導師ライセンスが欲しいだけに半年近くも魔導師として訓練を受けた大馬鹿な友人だ」


 魔導師になるには3人の指揮官から、魔導師として半年も訓練を受ける。その試験を合格したら、魔導師二等兵としてのライセンスが貰える。本来なら各支部に派遣されるのだが、レイヤの友人はライセンスだけ受け取って消えたのだった。魔導師ライセンスがあれば、普段通れない場所に立ち寄る事が出来たりするのだ。


「その者って、眼帯をつけてる子か?」


「知ってるのか?」


それを聞いたレイヤは驚くのであった。


「忘れる訳がない。俺達の試験を簡単に突破したんだ。100超える試験者の中で1番目立っていたからな」


「だろうな。アイツは化け物だからな。ちょっとの準備期間を与えれば俺ですら勝てない。強いってより厄介な男だからな」


「レイヤ君ですら勝てない男...」


 レイヤの圧倒的な戦闘姿を見て、その言葉が信じられない表情を浮かべるのだった。


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