第10話 魔賊長リンと副魔賊長レイヤの実力

良くしたい。だから、ユイちゃんって呼ぶね」


「仲良く...う、うん。よ、宜しくね。レイちゃん、リンちゃん」

「おお〜、やってる」


レイヤは船の中から出ると、グラトニーの無数の船が燃え上がっていた。


「グラトニー大将はどこ行った?!」


「なんで、この船に魔導師がいるんだよ!こんな話聞いてないぞ!」


逃げ回る魔賊達。

 炎を纏っているリンとガントレットを装着しているフウカの2人が暴れ回っていた。

 レイヤの他6つの性質に属さない特異元素と違って、リンは高火力な威力を出すことを得意とする炎の元素。


「アハハハッ!みんな吹き飛べ!」


リンは両手剣に炎を纏わせて大きく薙ぎ払う。

 炎の津波が数何隻が飲まれる。


「リン、終わりにするぞ」


レイヤは呪具の鎖で、グラトニーを拘束して引きずっていた。

 グラトニーは賞金首、生きて魔導師支部に引き渡すと懸賞金全額。死んだ状態で引き渡せば懸賞金の5割減が渡される。グラトニーの仲間達は動揺していた。


「グラトニー大将が負けた?」

「あんな、名の知れてねぇ奴に...」

「まじかよ」

「もう終わりだ。大将がやられた」

「そもそも、あんな地獄に行ったのが間違いだった」

地獄への門島ヘヴンズドラグニアゲート...何人の仲間が」


グラトニーが気絶している事に、グラトニー魔賊団達は戦う事を諦めるのだった。


「いや、本当に助かるよ。君達が居なかったら、今頃こいつらの餌食になってた所だった。本当に感謝するよ」


「?!!おじちゃん!」


真っ先に反応したのはリンだった。

 ヘーストの背後からラットが立ち上がりヘーストの首に手を回し隠し持っていたナイフを首に突き付けた。


「動くな!こいつの首を切り落とされなくなかったら、大人しくするべきだな」


「ちっ、タイミングを伺ってわざと気絶していたのか」


「レイヤ、ごめん。アイツを相手してたのはアタシ、もっとちゃんとすれば良かった」


「いや、リンは悪くねぇ。俺も気づかなかったからな」


レイヤは心の中で焦っていた。

 敵の大将を倒して、気を緩んだ隙に人質を取られた事に自分の不甲斐なさを責めるのだった。


「おい、お前らが欲しいのは金か?全て渡すぞ」


ヘーストはナイフを突きつけられているのにも関わらず、冷静に対応をする。


「それは聞けねぇ、相談だ。アンタらは俺らの大将を殺しちまった。男は労働奴隷、女は性奴隷とし一生地獄を味合わせてやる」


「女は性奴隷って、お前もあの負け犬大将と同じ事言うんだな。サルかよ」


「てめぇ、状況が読めてねぇようだな。その生意気な口を黙らせてやる。野郎どもピストルを構えろ!こっちは人質がいる。無闇に攻撃は出来ないだろう」


 ラットに人質がいる事に、戦意喪失した筈の戦闘心が再び燃え上がる。ピストルの銃口をレイヤ達に向ける。


「リン、銃弾が放たれたらそれが合図だ。俺が全ての銃弾を弾き返して奴の腕を奪う。あとは頼めるか?」


「楽勝!失敗は許されない」


2人はラットに聞こえない様に会話をする。

 そして、ラットは持っていたナイフをレイヤ達に向ける。


「放て!あの男だけは殺す!!」


バンッ!と無数の銃弾が放たれる。

 レイヤは落ちている剣を拾い構える。


卯月うずき明鏡夜桜めいきょうよざくら


剣を円を描く様に動かし銃弾を全て切った。

そして剣を流す様に空に上げる。


皐月やよい餓狼天がろうてん


 斜めに振り下ろした一閃で、地面を抉りながら前方へ向かう5つの斬撃を飛ばす。その攻撃によってピストルを向けていた連中は切られるのだった。


睦月むつき月影牙華げつえいげっか。遅せぇんだよ」


 残像すら置き去りにする程の一瞬の間で放たれる一太刀で腕を斬り飛ばす。レイヤは3つの技を流す様に使ったが、その時間は3秒も満たなかった。


「予想通りだ」


持っていた剣は耐えきれなく砕け割れた。

 作戦通りにリンはレイヤの後を追い、剣を上げる。


兇変・顎門きょうへん・あぎと


無数の炎の龍の顔が現れる。

 リンは瞬きをする一瞬の隙に、無数の大中小の威力の斬撃を前方に空間を埋め尽くすように飛ばした。だが、不思議な事に龍の頭はフウカを透き通る様にラットを襲う。


「おいおい、そんなのあんなら。俺要らなかっただろ」


 マジかよ。リンの実力を見る為に、最後はわざとリンに任せた。まさか、ここまでだとは思わなかった。曲がる剣筋...俺でも取得出来なかった技術だぞ。


 透き通る様に見えるが、それはただリンが剣の軌道を蛇の様にうねらせて、フウカに当たらない様に斬りつけた技術なのだった。

 レイヤはその出鱈目な剣の動かし方に驚いていた。


「す、凄い。な、なんなんだよ、この2人は?ほぼ2人だけでグラトニー魔賊団を倒しやがった」


 ヘーストは2人の底知れぬ力量に驚き、関心を抱いていた。地面に座り込んでいるフウカにレイヤは手を差し伸べる。


「ヘーストさん。大丈夫ですか?」


「ごめん!あの男、倒したと思ってた。ごめんね!」


「いや、見事だった。本当にこの船を守ってくれて感謝している」


そして、従業員達は魔賊達を拘束するのであった。




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る