第7話 フウカの夢
「眠れねぇ...」
客室のベッドの中、レイヤはベッドの上で天井を見つめていた。外の空気を吸う為に部屋の外に出て夜空の下で海を眺めていた。
「レイヤさん?」
「フウカ。まだ起きてたのか?」
「はい、朝食の仕込みをしていました」
「仕込み?」
「はい、こう見えて私料理の心得があるのですよ。なので、私はリンさんの船の役割は料理人として頑張ります。よろしくお願いしますよ、副魔長さん?」
フウカはレイヤの隣に近づき壁に寄りかかる。
「そう言えば、2人は何故魔賊になったのでしょうか?」
「俺は無理矢理、リンに魔賊にされた感はあるが、俺達の目的...いや、夢は似ているんだ」
「似ている?」
「ああ、俺は魔導王。リンは剣帝になる夢がある。それがリンが魔賊になった理由だな」
「魔導王と剣帝...それが2人の夢?」
「ああ、だからアイツと出会ってもう一つ夢が出来ちまった。俺はアイツが剣帝になる姿を見たくなっちまったんだよ。それが、俺が魔賊になったもう一つの理由...かな?」
レイヤは優しく微笑むのであった。
「そんで、俺の事は話たんだ。フウカの夢を聞いてみたい」
「私のですか?私の夢は、餓死なぞ存在しない世界にしたい。みんなたらふく食べれる世界にしてみたいです。私は五つの世界の食材が集まっていると言われている幻の楽園をこの目で見つけてみたいのですよ」
「幻の楽園?」
「はい。無限に食材がある幻の楽園『
「良いじゃねぇか。
「バカにしないのですか?」
「なら、俺は魔力がないのに魔導王を目指してるんだぞ?アンタはそんな俺をバカにするか?」
「バカにしません!まだ知り合って間もありませんが、レイヤさんなら魔導王になれる!私はそう信じています」
「だろ?それと同じ気持ちだ。見つけようじゃねぇか、
「...なら、私が魔賊になり世界を旅する目的が出来ましたね。私はこの目で
フウカは一度諦めた夢を、レイヤの言葉によってもう一度追いかける事を決意したのだ。
そして2人が部屋に戻ろうとすると、2人の男が近づいて来る。それはフウカの父ヘーストが護衛として雇った2人の美食屋。するとロン毛の男がフウカの顔を見て驚く様子を見せる。
「これはその服装は魔導師でしょうかね?」
「いえ、元...」
「ああ、俺達はヘーストさんから護衛依頼を貰った魔導師なんだ」
「なるほど、魔導師ですね」
ロン毛の男は鋭い目つきで睨む。
レイヤはここで魔導師だと嘘をついた。
正直言って、こいつらの事一目見た時から怪しいんだよな。少し煽ってみるか?
「つかぬことをお聞きしますが、魔導師ライセンスをお見せしてよろしいでしょうか?」
「あ、えっと」
フウカの魔導師ライセンスは軍艦の中に置いて行ってしまっていた。レイヤはそれを察して、再びを嘘を重ねる。
「...すみません、俺達はライセンスの方は部屋に置いてしまって」
「そうですか。なら、名前、年齢、何期生、その時の教官のお名前を聞いてよろしいでしょうか?」
「...レイヤ、年齢は20」
「(え!!同じ年だったのですか!てっきり年下かと...)」
横でレイヤの年齢を聞いてフウカは心の中で驚くんであった。そして、レイヤが嘘をつく理由が分からなく、戸惑うが何か裏があるのかレイヤの嘘に乗ってみることにした。
「第1236期生で、第1試験官ムラサベ、第2試験官リンべ、第3試験官ベストだったかな」
「なるほど4年前に魔導師になったのですね、この5年間試験官は変わっていません、どうやら本物のようですね」
「(...な、何故レイヤさんがその様な情報を?それを知っているのは魔導師だけ...私の脳を見る呪具を使った?いや、それでしたら、私が合格した年第1235期生と答えるはず」
美食屋になるには毎年1度に行う試験がある。
その時に3人の試験官の試験を突破しないといけない。試験の事は機密情報でそれを言えたことは信じられる情報だった。
...あいつがライセンスがあれば色々の特権があるから、あいつが試験を受けた時の話が役に立つとは思わなったぞ
「私は第1238期生のモルトです。こちらはラット」
モルトは隣にいたハゲの男を紹介すると、ラットはペコリとお辞儀をする。
「俺達が魔導師って証明出来て良かったよ...それで、こちらも質問したい事があるのなが、アンタの仲間は何人来ている?」
「はい?私のですか?私と隣にいるラットだけです」
「んじゃ、船に近づく28人の人間は無関係なんだな?違うなら殺しても構わないよな?」
「なるほど、流石魔導師ですね...ラット!このクソガキを殺すぞ!バレたのならしょうがねぇ!」
モルトは腰にさしている剣を抜き、人質にする為にフウカを襲う。
「ガハッ!」
「ヒュー!やるっ!」
だが、作戦は失敗しフウカは普通に剣の攻撃を避けて回し蹴りを入れた。横で見ていたレイヤは感心するのだった。
「なるほど、どうやら賊は貴方がたお二人のようですね」
「クソッ!良い気になるなよ!こちらは30人近くいるんだぞ!」
「なら、せいぜい頑張れよ。ウチの長は俺の聴覚並みの鋭い感覚を持ってるぞ?リンはもう動いている」
『ぎゃー!!』
『なんだ!』
『助けてくれ!』
船の彼方此方に悲鳴の声が聞こえて来る。
トットットッ!と駆け走る音が聞こえて来て、近くのドアが勢いよく開く。
「あっ!いたー!!レイヤ!敵襲だよ!」
片手に血が付いている鞘の中にしまっている両手剣ともう片方には気絶している男を引きずっていた。
「もう、終わりか?」
「クソがぁ!」
モルトはレイヤ達に向かって怒鳴るのだった。
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