第6話 船

「「「誰?」」」


「ん?...あー、ボクはクロエ〜。腹が空いていたから、肉に匂いに釣られてしまった〜」


「「「...」」」


 遠慮なく自分達の料理を食う、クロエと名乗る人物。声からして、若い女性と伺える。


「そうそう。店主」


「お、おう?な、なんだ?」


「この島に財宝があるの伺ったが、それはどこにある〜?」


「ざ、財宝か?」


「財宝なら、この中にあるぞ」


「?...どう言う事だ?お前が財宝って事か?」


 レイヤは自分の体内の中にあるのを親指で示すが、何を言っているのか理解してないクロエは首を傾げる。


「財宝は、体内に入れる系の呪具なんだ。だから、もう頂いちまったって事だ」


「なるほど。もう、ないってことか...はぁ、残念。まぁ、お肉ありがとう。ご馳走さん」


 クロエは机の上にお金を置いて、その場を後にするのだった。一体何者なんだろうかと、疑問を抱くが今は宴を楽しむのであった。これがクロエとの出会いだった。レイヤ、リン、フウカ、クロエ、そして喋る呪具が出会った事が偶然なのか運命なのかは、わからないが、この出会いが後に世界を大きく変えるきっかけになる事は、この時はまだ知る由もなかった。

そして、次の日にこの島を出る事にする。



「さて、リン。どこに行く?」


「うーん、やっぱり最初の目的は、魔導王ディアブルと剣帝ムサシが出会った島と言われている。ここ南の界岸にある始まりの島『ザファーレスト』に行こう!!」  


 70年前の歴代最強と謳われている魔導王ディアブルと剣帝ムサシが魔賊として出発した島と言われている、魔賊が一度は立ち寄りたい、初まりの島『ザファーレスト』。


「なら、まずは船探し!」


店主から案内に船が売っている場所に向かう。

そこには小さめだが、船が並べてあった。


「これ1番安いよ?」


 森の中で自炊をしていたレイヤ、そもそもお金を持っていないリン、今の頼りはフウカのお金だけだった。


「フウカ、ごめん。いずれ返すよ」


「良いですよ。仲間なんですから」


そして3人で乗れて、1番安い船に案内をされる。


「どれどれ乗り心地の方は...!?」


レイヤは船に乗ると背負っているバックの重さで、船がひっくり返るのであった。背負っているバックで海の下まで沈むレイヤは頑張って思いバックを担ぎながら地上まで泳いで上がる。


「あんちゃん、それは無理だと思うぜ。結構大きな船じゃないと待機れなく沈むぜ」


大きな船を買える程お金はなく、3人はすんなりとその場を後にした。


「やっぱり魔賊として、船盗むか?」


「それは関心しないな。そういうのは嫌い」


「私も、あまりそう言う行為はしたくありません」


「そうですよね。変なこと言ってごめんなさい」


自分の愚かな提案に反省するのだった。

 困る3人の反応を見て、店主のおっさんは何か力にならないかと考えるのだった。するとあることを思い出す。


「なら、乗せて貰えば良いじゃないか?ちょうど、この島に商業協会の船も来てるし。俺が頼んでやろうか?」


 月に一回食料を運ぶ為に、商業の船がある島から来るのだった。ちょうどその船はザファーレストにも通るそうだと語る。


「なら、お願いしたい」


「おう。兄ちゃん達はこの島の英雄だからな」


「英雄って、言い過ぎだろ」


 そして、店主のおっちゃんから案内をされ紹介をしてくれた。なかなか大きな運送船だった。そこにいた木箱を持つ、頭にタオルを巻いている筋肉質のタンクトップ大男がいた。


「話は聞いている。君達をザファーレストまで送れば良いんだな?」


「ああ、わざわざ俺達を船に乗せてくれてありがとう。もしこの船に危害を加える魔賊から護衛をするよ。少しばかりの感謝の気持ちだ」


「お?護衛してくれるのか?それは助かる!見た所、魔導師様もお見受ける」


「正確には元魔導師です」


「なるほど!心強いな!もしその時が来たら、その時は頼むぜ。まだ、自己紹介をしていなかったな。俺はヘースト」


「レイヤだ」


「リン!」


「フウカ=ナーベです」


ヘーストは手を差し出しレイヤと握手を交わす。

フウカはある2人の人物が気になった。


「あの制服...もしや、この船に魔導師がいるのでしょうか?」


「ああ、あそこの2人か。近頃魔賊が活発化しているらしいからな。念のの為に護衛を依頼したんだ」


そして他に乗っている人たちは従業員だそうだ。

 次の目的地は始まりの島『ザファーレスト』。運送船は今出航するのであった。

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