第13話 ラストチャンスに賭ける!

「E判定って……落ちてんじゃん……」


「いやぁ、惜しかったよね! あんなに頑張って書いたのにさ。きっとギリギリのラインだったと思うんだ。あと少しだけオリジナリティが出せてたらきっと受かってたと思う!」


「これ以上のオリジナリティは必要ないと思うよ?」


「実はラストチャンスもらったんだよ。明日までにレポート再提出してB判定以上取れたら、単位もらえるって!」


「B判定なんて取れるの? こんな酷評もらってんのに」


「それは大丈夫! なぜなら秘密兵器があるから!」


「秘密兵器!?」


「ジャーン!! 紹介します。ジャマイカからの留学生、ドナルド君です!」


 マミは隣でハンバーグを頬張る黒人の男の子をいきなり紹介してきた。 


「ええっ!」

 でもいいアイデアかも知れない。

 餅は餅屋。ジャマイカのことはジャマイカの人に話を聞くのが一番だ。


「協力者見つかって良かったじゃん」


「それでさ、シノ。あと少しだけ助けてほしいんだけど……」


「なんかすごく嫌な予感がするよ?」


「大丈夫大丈夫! ジャマイカって公用語英語なんだって。 ジャマイカ語とか言われたらお手上げだったんだけどさ、英語ならなんとかなりそうじゃない?」


「なりそうじゃない? ってなんで私に聞くの?」


「言ったじゃん! もうちょっとだけ手伝ってほしいんだって。シノ私より英語得意でしょ? 通訳してくれない?」


「マミは小学校に戻って『もうちょっとだけ』の意味から勉強し直してきたほうがいいよ?」


***

……結局私もマミも、ドナルドの強烈なジャマイカなまりの英語を聞き取ることはできなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る