第12話 教授の評価
「それでどうだったの?」
私は学生食堂のカウンター席に座っているマミに尋ねた。
「ちゃんと期限内に届いて、講評ももらえたよ!」
「良かった。停電中だったし、ちょっと心配してたんだ」
私はマミの隣に腰掛ける。
「異文化交流の教授、話長くてさ。レポートの講評も長くて何言ってるかよく分かんないんだよ。見る?」
マミはタブレットを開いた。
***
『異文化交流の基本的コミュニケーションを根底から覆す異端レポート』
出だしから不穏な文字が並ぶ。
私は恐る恐る画面をスクロールした。
『ジャマイカ文化の誤解と偏見のデパートのような本レポートは逆説的見解をもってすれば非常に優れたレポートとも考えられる。
ホンジャマカは日本の芸人であり、ジャマイカとは一切関係がない。
またジャマイカの主食はじゃがいもではなく米である。国旗にはもちろんじゃがいもは描かれていない。
黒色人種の肌の色は日焼けではないし、ましてやコーヒーの飲み過ぎなどでは断じてない。
ジャマイカはカリブ海に浮かぶ島国であり、アフリカ圏にはなく、赤道直下でもない。
首都名はキングストンであり、レゲエの神様はボブ・マーリーだ。
そもそもジャマイカに温泉はなく、大江戸温泉物語はオールインクルーシブ制度を導入していない。
これらのことを加味して「ジャマイカでま☆いっか」というタイトルをつけているのであればこれほど適したタイトルはなく、まさに最適解であるが、レポートとしては不適合と言わざるを得ない。
総合評価:E
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