第346話、面倒な気分で出した結論。
「事情は理解した・・・もぐもぐ・・・だが現状はやはり、俺には関係の無い話だ・・・もぐもぐ・・・俺の名を勝手に利用して、俺を勝手に巻き込もうとしただけだからな」
俺が狙われる可能性も、俺が利用される可能性も、メラネアが狙われる可能性も解った。
だがそれは結局の所、俺が態々動く様な理由にはならない。
俺に謝罪をするというのであれば、俺に害が届かない様に対処すべきだろう。
謝ったから巻き込んでも問題無い、等と考えているのであれば話にならん。
巻き込まれるまでは俺には関係の無い話で、巻き込まれた瞬間に動く理由が出来る。
当然その時は先程宣言した通り、王都を襲撃してからの行動にはなるがな。
「ああ、勿論解っている。なので相手方に貴殿の情報を流す様に告げた」
「俺の情報を?」
「貴殿は今回の戦争に参加する様な人間ではない。真正面から戦争をするのであれば、精霊付きは戦場に出て来ない。そういった類の話を相手に伝える様にと」
「・・・それ、信じるか?」
敵国が『戦力を出しません』と言って信じるアホがどこに居るのか。
むしろそんな事を言われたら、逆に疑ってかかると思うんだが。
「信じないかもしれないが、何もしないよりはマシだ。伝えておけば貴殿の人となりの調査に力を入れるかもしれんしな。それに信じるかどうかよりも、伝えるかどうかの方が怪しい」
「・・・話にならな過ぎるだろう・・・もぐもぐ」
つまり俺に謝罪を等と言って人を送っておきながら、内心は違うと。
大馬鹿がやらかしたとは思いつつも、結局の所俺を利用できるなら利用したい。
そんな考えがどこかにあると、領主殿は言っている訳だな。
勿論俺を利用するなど危険だと、本気でそう思って動いた奴も居るだろうが。
でなければ謝罪などしないだろう。そのまま戦争になるまで伏せておくはずだ。
「まあ、伝えずとも、戦争前に貴殿の事を調査するのは確実だろうし、その結果貴殿には手を出さないという話になる可能性も無くはない」
「結局の所、相手方がどう動くか解らず・・・というか、こちら側もどう動くか解らんと」
「そうなる」
領主の心からの溜め息に、何とも苦労人だなと感じた。
少なくとも今回の件では、彼は完全に被害者だな。
領主が俺を利用する場合、確実に俺に利益を与える。
彼の利用方法は、あくまで俺に動く意思があっての事だからな。
今回の様に無理矢理巻き込む、という行動は報復が有ると解っている。
だからこそ今回かなり焦って、態々謝罪の為に俺を呼び出した訳だ。
しかも呼び出した事による不機嫌の可能性も考慮しつつ。
「・・・この国、滅んでも良いんじゃないか?」
「・・・ただ日々を過ごす者達には罪が無いんで、それは勘弁してやってくれ」
「そうか。そうだな」
「ああ」
暗殺組織を抱えるクソの様な貴族も居て、今回の様な馬鹿をやらかす貴族も居る。
だが日々を過ごす事で精いっぱいの平民達には、この国はそこまで悪い国ではないのだろう。
むしろこの国が戦争に負けて蹂躙された場合の方が、どういう扱いになるか解らない。
そもそも戦争に負けてしまえば、土地持ちの者達は取り上げられる可能性が高い。
国の方針次第では、この国の人間は全員奴隷、等という可能性もあるな。
勿論組合員の様に、自分の生まれた場所や土地に余り執着が無い連中には関係無いが。
いや、そうでもないか。組合員でも土地から動かない連中が居る。
その手の連中は戦争になれば、この国の為に兵士として参加するかもしれないな。
「というか、今更の話だが、その情報を伝えて来た奴はどこに行ったんだ。謝るのは領主殿ではなくソイツだろう。どう考えても領主殿は巻き込まれた被害者だと思うが」
「即座に情報を伝える為に鳥を使っている。大概の地を行く獣の足より速いんでな。まあこれはこれで、途中で飛べる魔獣に襲われて届かない事もあるんだが」
「あー・・・成程」
兎に角俺にこの事を伝えなくてはとなり、そして怒りを受ける相手になる可能性を考えた。
結果があの謝罪で・・・やっぱり領主殿は被害者では?
何にせよこれは俺には関係の無い事だ。今は、な
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