外伝「單 一希」

 逞しい腕。

 冷静かつ熱血な声。

 確かな優しさを秘めた強面。



怪我けがいか?

 変なこと、されていよな?

 安心しろ。あんたはもう、大丈夫だ」



 そんな言葉と共に向けられる、眩しい笑顔。



 ひとえ 一希いつきは思う。

 こんな出会い方をしたら、自分じゃなくても、一目惚れするに違いないと。





ったく。

 ふてぶてしい野郎共だぜ。

 神聖なる本屋でナンパたぁなぁ。

 そんでもって、こっちが警察に電話する振りぃしてみせたら、みっともねぇ奇声発しながら、そそくさ逃げやがってよぉ。

 最近のぁ根性が足りねんだよ」

「あ、あはは……」



 あなたが、古風というか、強過ぎるだけの気が……。

 基準からして、間違ってるような……。

 


 事情聴取も兼ねてバックヤードに案内された一希いつきは、そう思いつつも苦笑いで誤魔化ごまかした。



「ほんで、本題なんだが。

 そのぉ、なんだ?

 ……えっとぉ……」



 それまでハキハキ、ワイルドにしていた彼が、途端とたんに緩く、喋りづらそうにした。

 意外にうぶなんだ……可愛かわいいな……とひそかに思いつつ、一希いつきは返す。



「無事です。

 店員さんが、助けてくれましたから。

 本当ほんとうに、ありがとうございます。

 えと……」

熱田にえた

 熱田にえた あつしだ」



 その名前は、彼の熱い人柄に、実に合っていた。



 それがうれしかったのか、面白かったのか、はたまたすでに好意を抱いていたのか。

 真相は定かではないが、一希いつきは彼を、名前で呼びたくなった。



あつしさん。

 素敵なお名前ですね」

「そかぁ?

 読み辛いって言われて困ってるんだがなぁ」

 それに関しては同意する他いので、一希いつきは口元を抑えて笑った。



「私は、ひとえ 一希いつき

 大学四年です」

「てことは、就活生か?

 大変だろぉ? 今。氷河期なんて言われてるもんなぁ。

 頑張ってんなぁ、あんた」

「あ、いえ、そこまでは……。

 昔から手伝っていた縁で、母の務める会社に、すでに内定しているので……。

 っても、コネとか社長とかじゃないし、ちゃんと実力だし働いてるし働くし、社員の皆様もすごくしてくださってるんですが……。

 それはそれとして、やっぱりお仕事なので、それなりに大変ではありますが……」



 まさか労われるとは思っておらず、ペースを崩される一希いつき

 このまま中途半端にならないためにもと思い至り、一希いつき椅子いすから立ち、お辞儀する。



「この度は助けて頂き、本当ほんとうにありがとうございます!

 あつしさんがなかったら、てくれなかったら、私……!」

「ま、まぁまぁ、落ち着けって。

 そう固くならんくていから。

 ほら。座んなって。な?

 ジュース飲むか? てか、飲めるか?」



 近くの台に置いてあったドリンクを、あつしが手渡す。

 一希いつきは、言われた通りにして、ボトルも受け取る。



「……レモン・ティー?」



 またしても意外な好みに、一希いつきは吹き出してしまった。

 いや……ニアミスというか、お茶ではるというか……。



「あ、わ、悪ぃ!

 苦手だったか!?」

「……大好きです」



 たった今から。

 飲んだこといけど。

 あなたが、くれたから。



 そんな言葉を、一希いつきは胸に秘めた。



 びっくりするくらい自然に、脳も心も体も、もう受け入れていた。

 この人が、あつしさんが、異性として好きだと。



「そか。

 なら、良かった」

「すみません。

 なにからなにまで」

いって、別に。

 元々、後で飲もうとして買っといただけだ」

「え」



 と、言うことは……。

 


 ……間接キス?



「……あっ!

 ても、あれだぞ!? まだ口付けていから!

 そんなにベタベタ触ってもねぇし!

 ただ今、財布ロッカーだから、仕方無くだ!

 あー!」



 別になにも言ってないのに、言い訳を始め、頭を掻くあつし

 かと思えば急に冷静になり。



「……かく

 飲んでくれて構わない。

 勿論もちろん、代金も要らん。

 な?」

「じゃあ……頂きます」

「おう」



 子供っぽいことを考える自分が、無性に恥ずかしくなる一希いつき

 そもそも、蓋の下を見れば、一目瞭然じゃない……。

 てか私、こんなにガツガツしてたっけ……?



「さて、と。

 さっきの連中の面ぁ覚えた。

 とりま出禁できん、俺がうちは意地でも入れさせねぇとして、だ。

 これから、どうする? 本当に、警察に行くか?」

「いえ……。

 確かにドギマギしましたが、腕を触られただけなので……」

「俺から言わせりゃ、それも立派な犯罪なんだが……。

 あんたが言うなら、まぁ……情状酌量としといてやるか。

 んじゃ、この件は終わりっと。

 話してて楽しい内容でもねぇしな」

「あ……」



 しまった。

 もう、話題がくなってしまった。

 


 彼と、もっと話したいのに。

 好きな人とか、タイプとか、彼女の有無とか、もっと聞きたいのに。

 もっと彼のこと、知りたいのに。



「あ、あのっ!

 いいお店ですよね、ここ!

 品揃えもサービスもいし、あつしさんもるし!」

「お、俺?」

「じゃなくてっ!

 えと、えと……!

 かく! 私、ここが気に入りました!

 通い詰めたいです!」

「そりゃあ、どうも……。

 これからも是非、ご贔屓に……」

「はいっ!

 でも、さっきみたいなことに巻き込まれるのが、怖くて……!

 ……ですから!」



 再び立ち上がり、一希いつきは頭を下げる。



「私を……ここで、働かせてください!」



 突飛だなぁと、我ながら思う。

 臨床心理学とか、ディベートとか学んでるのに、メンタルの所為せいで、役立たせられない。

 


 でも、しょうがないじゃない。

 好きなんだもん。



 そう自分を納得させる一希いつき

 開き直りではあるが、変に誤魔化ごまかすよりかはマシである。



 もっとも、リアルの方は、ものの見事に誤魔化ごまかしているのだが。



「ほ、ほら!

 流石さすがに店員だったら、変なこととかして来ないじゃないですか!

 同僚さん達が目を光らせてくれてるし、電話なり通報ボタンなり押せば一発だし!」

「まぁ……そう、かな?」

「それに私、自分で言うのもなんですが、成績優秀なんですよ!

 必要単位だって三年の時点でほぼ満たしてるし、卒論だってパス直前ですし、後は週一で通学して、前期と後期で必修一コマずつ取れば、卒業なんです!

 就職の方も、上述の通りですし!

 なんなら今は、最後の文化祭に向けてバンド練習に明け暮れてるし!

 要するに! 割と暇なんです!」

「ああ……そうなの?」



 の割にはさっき、『大変』とか言ってたよーな……。

 などといぶかしむ顔をするあつし



 流石さすがにボロが出そうというか、本気でしっちゃかめっちゃかになりそうなので、一希いつきは結論付ける方向に舵を切る。



「で、ですから……!

 ですからぁ……!!」



 気付けば一希いつきは、涙を流してしまっていた。



 いけない。

 ハッとし、一希いつきは急いで目元を拭う。



 失態だ。

 また、元来の悪いくせが出てしまった。

 こんなだから、『あざとい』とか『うざい』とか言われ続けてるのに。

 い加減、直したいのに。

 こんな自分、いやなのに。



 そんなふうに、一希いつきが自己嫌悪の念に陥っていると。

 そ、っと。目の前に、ハンカチが見えた。

 差し出してくれたのは、言うまでもい。



「……ほら」



 数分前から恋い焦がれて仕方のい、素朴な書店員、熱田にえた あつしだった。



「……ありがとう、ございます……」



 一希いつきは、再び受け取った。



 こっそり、あつしの手に、少しだけ触れた。

 惚れているのだから、これくらいの役得は、許してしい。

 


 そう。

 ひとえ 一希いつきとは、天然ジゴロの女性版のような性格。

 言うなれば、天然カマトトである。

 


ひとえさん。

 あんたの気持ちは、ぉっく分かった。

 ただなぁ……俺、店長じゃないんだわ。

 俺の一存で、合否を決める訳にゃあいかんのよ」

 


「あ……。

 ですよ、ね……」



 もっとぎる正論を受け、一希いつき途端とたんにいたたまれなくなる。

 と同時に、ネガティブな気持ちになる。

 今の一言さえ、体よく自分をフるための言い訳に思えてならない。



「だからさ」



 厳つい顔を崩し、ニカッと笑い、少し恥ずかしそうに、あつしは告げる。



「今度、面接来てくれよ。

 店長に話して、アポ取っとくからよ。

 あんた、好感持てるから、きっと採用されるよ」



 あつしが届けた、飾らない、何気ない本音。 



 本音を言っても誤解、曲解されるだけの人生を送り続けて来た一希いつきにとって、それがどれだけ、ありがたかったか。

 どれだけ、心持ちにしていたか。

 どれだけうれしく、生きる糧となったか。



「私……疎まれてばっかですよ?」

「単に相手に恵まれなかっただけだ。

 あんた、家族とは別に仲悪くないだろ?

 あんたを見てれば分かる。あんたのご両親、ご家族は、あんたのこと、ちゃんと育ててるし、ちゃんと愛してるんだって」

「私……ここにても、いんですか?」

「ここだけの話、少なくとも俺は、あんたに是が非でも来てしい。

 あんた、面白いからな。

 それに、さっきも言ったろう?

 俺は、あんたが好きだ」



 ……分かってる。

 リップサービスではないにせよ、その『好き』に、特別な意味はいんだと。

 自分はくまでも、人間として好かれているにぎないと。

 異性としてでも、ましてや恋人候補としてでもないのだと。

 自分は、まったくの脈無しだと。



 あつしは、根っからの真人間。

 彼ならきっと、自分がどれだけアプローチしても、優しくしてかわことだろう。



 それは、想像するだに、恐ろしい。

 悔しいし、悲しいし、苦しいし、狂おしい。



 けど……それでも、構わない。

 もう少しだけ、彼のそばられるのなら。

 あとほんの1ミリでも、彼に近付けるのなら。

 私はもう、他になにも要らない。



「……また来ます。

 絶対、戻って来ます。

 今度は、同僚として」



「おう。

 待ってるぜ、ひとえさん。

 あんたを、応援してる」



 ほら。やっぱり、思った通りだ。

 私は『ひとえさん』であって、『一希いつき』ではない。

 私は『あんた』であって、『お前』じゃない。

 


 私は……選考外なんだ。



 だったら。

 一希いつきは、みずからを奮い立たせる。



 面接と同じだ。

 何度も何度も、自分を、彼のさをアピールして、話して、証明して。

 いつかきっと、合格してみせる。

 あつしさんの彼女に、なってみせる。



あつしさん!

 これから、よろしくお願いします!」

「気ぃ早ぇって。

 でも、まぁ……よろしくな」

「はい!

 何卒、よろしくお願い致しますっ!!」

なんで、そんなにガチ?」



 ガチにならないわけい。

 本気だから。本気で、心から、彼が好きだから。

 あつしさんが。彼さえてくれるのなら、他に誰も、何も求めないほどに。





「そう、思ってたんだけど、なぁ……。

 そのはず……だったんだけど、なぁ……」



 あれから時が経ち。

 入社したての一希いつきの前に、ほぼ同時に、とんでもない恋敵が現れた。

 


 憧れて、羨んで、喧嘩して、打ち明け合って、やっと本当ほんとうに打ち解けて。

 その果てに、今。

 あつしの恋人、守真伊すまい 懐月なつきは、一希いつきの部屋で、布団ふとんに横になっていた。



 クールで、大人で、仕事が出来て、スタイリッシュで、格好かっこくって、高飛車なのに優しくって。

 なにより、月明かりさえスポットライトに変えるくらいに、綺麗で。

 なのに、仕事以外はダメダメで、おかげで親しみやすい。

 あつしの恋人の座を自分から奪ったのは、そんな変な人。



 悔しいけど、っとけない、魅力的な人。



「……っ!!」



 ああ、まただ。

 懐月なつきを眺めていたら、それっぽいことをしてしまった。 

 あざとく、みっともなく、泣いてしまった。



 駄目ダメなのに……。

 いやなのに……。

 今は……この人の前では、特に……。



 ポンッと、ベッドの上に一希いつきの頭を、寝ていると錯覚した懐月なつきが撫でる。

 丁度、出会ったばかりのあつしが、ハンカチをくれた時のように。



 何よ。何よ、何よ。

 あなたなんて、金メッキならぬ銀メッキのくせに。

 身長はともかく、私より小さいくせに。

 出来るふうを装った、ビギナーのくせに。

 珈琲ブラックで飲めないくせに。

 いきなり、知識もいままテントとか張っちゃうくせに。

 ……心の底から、恨めしいのに。



 なのに……なのに。



なんで……なんで、そうなんですかぁ……。

 そんなに……優しく、するんですかぁ……。

 私……最低、なのに……」



 馬鹿バカ

 嘘吐き。

 卑怯者。

 裏切り者。

 お邪魔虫。

 割り込み厨。

 ポンコツ。

 ツンデレ。

 高飛車女。

 男勝り。

 勝ち気。

 メシマズ。

 コミュ音痴。

 冷徹人間。

 ロジハラ。

 偏屈家。

 喧嘩好き。

 サークラ未満。

 恋愛アマチュア。

 ロボットもどき。

 ワーカホリック。

 元スマイル0点。

 名前そっくりさん。

 身長有ぎ。

 スタイルぎ。

 眼鏡。

 負けヒロイン属性。

 属性盛りぎ。

 孤独気取り。

 構ってちゃん。

 mktnのパチモン。

 ミサンドリスト。

 大人気無ぎ。

 残念美人。

 西洋人形。

 猫型女。 

 お子ちゃま。

 妖怪テント張り。

 見栄っ張り。

 守銭奴。

 ドケチ。

 RTAガチ勢。

 ラスボス。

 バカネモチ。

 裏ボス。

 UR持ち腐れ。

 DLC女。

 後付け型ヒロイン。

 引換券。

 あつしさん向け救済パッチ。



 出会って二ヶ月足らずの、ぽっと出他所よそ者、油揚げ攫い。

 

 

 こっちになんか帰って来ないで、都会でだけバリバリしてればかったのに。

 前に聞いた、喫茶店のマスターの幼馴染と、大人おとなしくゴールインすれば良かったのに。

 あつしさんとも私とも、出会ったりなんかしなければ良かったのに。



 次から次へと溢れる、罵詈雑言の数々。



 そうだ。

 私なんて、ただの良い子しいなのに。

 同性からも、異性からも、嫌われてばっかりだったのに。

 


 なのに、なんで……。

 ……なんで……。



「……可愛かわいいわよね、あなた。

 あたしなんかとは、わけが違う。

 あたしも……あなたみたいに、なれたらかったのに」



 ……なんで、嫌いにならないの?

 なんで、嫌いにさせてくれないの?



 あなたならいや、って思っちゃうの……。



「私はっ!!」



 思っていた以上に大きな声が出た。

 きっと、感情に比例したのだ。



「私はぁ……」



 好きだった。

 本当ほんとうに、本当ほんとうに、大好きだった。

 あつしさんのことが。



 ……あなたの、ことが。



「……あなたが、羨ましいし、恨めしい。

 あなたなんか、嫌いだけど……もっと、好き……」



 懐月なつきは、少し驚いたあと微笑ほほえみ、上体を起こし。

 一希いつきのベッドに、無断侵入した。



「……なに、してるんですか……」

「そういう気分になったんだもの。

 許して頂戴ちょうだい

「……猫型女」

 


 一希いつきの暴言を物ともせず、懐月なつきは彼女の背中に手を置き。

 一希いつきを、抱き締めた。



本当ホント

 ……よく吠えるワンチャン……」



 懐月なつきの声が震えていた。

 彼女も、涙を流していた。

 


「……やっぱり私、あなたが嫌い。

 ……あなたみたいな、卑怯者……」

「……そうね」

「……勝手に、感情移入しないで。

 ……私の心を、読み取らないで……」

「……そうね」

「嫌いなのに。嫌いな、はずなのに……。

 ……なんで……なんで、こんなに、大好きなんですかぁ……」

「……ありがとう」

「だから……そういう所が……」



 一希いつきの背中を、懐月なつきが擦る。

 健闘を讃えるように。

 私も好きよ、と囁くように。



 もういんだ、と言うように。



 一希いつきは、泣いた。思いっ切り、泣いた。

 懐月なつきの胸で。想い人の、大好きな人の胸で。

 


 こうして一希いつきの恋は一旦、閉幕した。





本当ホントいの?

 また、あいつと一緒に働けるチャンスなのに」



 それから数カ月後。

 懐月なつきは、新しい仕事のスタッフとして、一希いつきをスカウトし。

 見事に、袖にされた。



「……もう、就職先が決まってしまいましたから」

「もう少し早かったらOKしてた。

 ってメタメッセージが受け取れるけど?」

「そこは流しておきましょうよ。

 それに……あなたに気を遣われてまで、あつしさんと一緒にるなんて、フェアじゃないです。

 そういうのは、ちゃんと、自分の力で、意思でしないと」

「……バレた?」

むしろ、なんでバレないと思ったんですか……」



 まったく。

 本当に、変な人だ。

 仮にも恋敵を、くまでも善意で、同情だけで、また好きな人のそばさせようだなんて。

 公私混同極まれりではないか。



 もっとも、前の職場に入社した経緯からして、そうだったのだが。



「……分かったわ。

 だったら、定期的に顔を出しなさい。

 歓迎するわ」

「……懐月なつきさんて、料理出来ませんでしたよね……?」

あつしが」

「万年新婚夫婦」

「あなたの憎まれ口、好きよ?」

「ドM」

「残念、真逆、不正解。

 もっとお勉強なさい」



 一希いつきにデコピンし、偉そうに笑い、またしても頭を撫で、懐月なつきは言う。



「……またね、一希いつき



 ……そろそろかな。

 そう、一希いつきは思った。

 もうそろそろ、許されるかな。認めようかな、と。



「……またね、懐月なつき

 あつしを、よろしく」



 明らかに、意味深に、なにかを省略した台詞セリフ

 懐月なつきは破顔したあと、クールにげる。



「次会う時まで、もっと身長、伸びるといわね」

「あと半年は、バイトでしょぉ!?

 懐月なつきが、大きぎるんだってばぁ!!」

「そうね。

 食事バイトするために、バイトしないとね」

まんないっ!!」



 そんな喧嘩を最後に背中を向け、キザに手を振り、懐月なつきは去る。



 一希いつきは、大手を振って、彼女を見送る。

 あつし懐月なつきの、前途を祝福する。



 そして、誓うのだ。

 いつか絶対、懐月なつきみたいな、綺麗で格好かっこいい、お茶目で一流なレディーになるのだと。

 あつしが惚れ直すような、後悔するような、女になるのだと。

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