「なんで陸軍大将の私がこんな場所に!?」
三十六計逃げるに如かず
第1話
私は、ゲンナジー・グヴォズダリョフ中将である。今、私がいるのは任命式。そう私はとうとう陸軍大将となるのだ。長い道のりであった。私は17歳で軍に入り、我が祖国ロドマテウロス王国の為に32年間も働き続けた。「低級のゲンナジー」という、二つ名を付けられた私もとうとう、大将だ。私にこんな二つ名をつけた上司を見返してやりたかったが、勝手に死にやがった。
「ゲンナジー・グヴォズダリョフ中将。」
「はい!」
「そなたをこれよりロドマテウロス王国防衛軍陸軍大将とする。」
「はっ!有り難き幸せとして存じまする。」
とうとう、国王様から任命していただいた。
式が終わると、賛辞を交わしてくれる者もいた。が、、、
「おい、この辺は泥臭いな。」
「そうですね。」
出てきやがった。こいつは海軍大将エフセイ・エルマコフ。エリート野郎だ。初級学校では、毎日あいつに嫌味を言われていた。隣であいつに同調しているのが、パヴェル・スラヴィーク少佐だ。あいつは、エフセイの側近だ。いつも周りにいる。最初はエフセイも嫌っていたが、彼の親が、国有数の実業家エミル・スラヴィークであると聞くと態度を急変させて許した。噂じゃ、あいつはエミルの会社から資金を得て、政権転覆を企んでいるらしい。
「これはこれは、陸軍大将のゲンナジー君じゃないか。失礼なことを言ってしまって、すまないね。」
「エフサイ海軍大将殿。失礼しました、私は船の上というのはなかなか正確に合わなくて、あんなに臭いところはたまりませんからな。」
「そうですか。では失礼します。」
そう言うと、彼らはそそくさと議会室に入っていった。
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任命式から10日後、とうとう大将となっては初めての任務が出た。その任務とは、東方地域に存在するラーマギア海の海辺に巨大な街を作っている民族である。通称「ラーマギア族」。彼らは、季節ごとに居住地を移動するのだが、移住の際に彼らと出くわした人間が度々襲われていた。
奴らとの間では今までいざこざがあったが戦争にはなっていなかった。国王様は今年大陸東方の制圧に乗り出したため、まずは近辺に存在する蛮族討伐をしようと思われたのだ。そして、私はいまラーマギア族と度々衝突しているロドマテウロス王国東部サラミラバ地区ドラスリーニョの領主アレクセイ・ハルムルザエフの元へと向かっている。彼の兵300と私の率いる王国軍東方軍団5000は領事館で合流してから、敵の英雄「タヌオ」の村を攻める流れである。
「大将殿、領事館が見えてきました。」
「よし、あれは味方の軍だ。」
アレクセイが領事館の前でケルピーに乗った、精兵が待っていた。
「お待ちしておりましたぞ、大将殿。」
「アレクセイ殿、お初にお目にかかります。この度は宜しくおねがいします。」
「では、向かいましょう。我らの軍勢は数は少ないですが、精兵を集めましたので、騎馬民族である奴らにも対抗できるでしょう。」
「それは、心強いです。」
1時間ほどするとドラスリーニョの端まで来た。
「ここからは、危険ですので、私達が先導します。付いてきてください。」
「では、頼みますよ。」
そして、軍勢は草原地帯を進んでいった。広大な大地には動物が多く存在していた。しばらくすると、敵の村が見えてきた。村の周りには防護柵が建てられており、人の声がした。
「大将殿、着きましたぞ。ここからは我軍が敵軍と戦闘をするため、大将殿は村を攻略してください。」
「わかりました。」
「それでは、ご武運を。我に続け!」
そう言うと、アレクセイを先頭に300人の騎兵が進撃した。すると、敵も飛び出してきた。先頭にはタヌオの姿があった。
「我々も、向かうぞ。」
私も村を攻めた。村の防御は固く。投石など、使える物そすべて、使っているようだった。しばらく攻撃を続けると敵の攻撃が止み、村の門を破城槌で突破することができた。すぐさま兵たちが、乗り込んでいった。
「そのまま、攻め落とせ!」
「大変です。後方より、敵軍が出現!」
「数は!」
「700はいるかと。どうやら他の村からの援軍と考えられます!」
「アレクセイ殿の方はどうなった。」
「劣勢のようです。」
「一時、撤退だ!」
「はっ!」
そうして、我が軍は撤退した。いや、しようとした。敵の数が多すぎて、抜け出すことができなかった。そして、防護柵の外からも雄叫びが聞こえた。アレクセイが勝利したのかと思い、確認した。しかし、違った。タヌオが彼の首が矛先に刺して、走り回っていた。その瞬間、恐怖を感じた。今まで、蛮族と罵ってきた相手に負けることがあるということを感じたからだ。
「大将殿、弓による射撃が激し。。。」
その瞬間、視界が明かりのない真夜中のようになった。
「なんで陸軍大将の私がこんな場所に!?」 三十六計逃げるに如かず @sannjiyuurotukei
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