番外編 クリスマス企画 アイン・ホワイト・クリスマス

「「「メリークリスマース!!!」」」

「まーす……」

「…………」


 帝国拠点内の広い一室で名有りの下っ端8人幹部4人そしてワタシ、アイン・ホワイトが豪華な食事やジュースの乗った大きなテーブルを囲んでいた


 そしてメリークリスマスという掛け声と共にワタシ以外の全員がクラッカーを鳴らす


「アインさん!しっかり合わせてクラッカー鳴らしてくださいよ〜!」

「いや……なにこれ?」

「クラッカーですが?」

「そうじゃねぇよ!?今この状況の事を言ってるんダヨ!!!」


 この天然アイドルもどきが!


「この状況?ああ〜もしかしてアインさんクリスマス会って初めて?」

「別にやったこと無いわけじゃないけどそうじゃないヨ!ワタシが言いたいのはなんでワタシ達がクリスマス会をやってるワケ!?」


 先程廊下を歩いていたらいきなり斉川と加藤、小栗に目隠しをされて拉致、そして運ばれた先で目隠しを外されると目の前にこの光景が広がってたという訳だ


「何故……ですか?理由はそうですね……クリスマスだからでしょうか?」

「意味わからないんだケド」

「小説のクリスマス企画ってやつです」

「急にメタイよ……」


 小栗がメガネを光らせメタ発言をかます


「まあ、いいじゃないですか〜こんな明日死ぬかもしれない世界にいるんですからたまには羽を伸ばしましょうよ?」

「アンタが言うと説得力が違うネ」

「え!?私そんなすぐ死にそうですか!?」

「だってアンタの魔法弱いじゃん」

「だから私の魔法は地味なだけで弱くはないわよ!」


 もはやネタと化している加藤の魔法弄りをしつつワタシは気になることを口にする


「小栗」

「なんですかアインさん?」


 チキンをもっちゃもっちゃ食っている小栗がこちらを向く


 食べてる時に喋るなよ……


「気になることがあるんだケド……」

「(ごくん)なんですか?」

「このパーティ費用と食費どこから出した?」

「……」

「……」

「帝国の軍事費ですgどぐぁ!?」


 ワタシは小栗のバカを思いっきり殴り飛ばす


 最悪!最悪!こいつ予想以上にゴミクズだわ!100歩譲って帝国の資金から使うにしてもせめて食費とかだろ!?何軍事費に手を出してるんだよ!?アホなの?馬鹿なの!?言いたくないけどこんな奴に資金管理を任せたアイン・ホワイトも馬鹿だわ!


「小栗……何帝国の資金に手を出してるワケ?」

「あ、アインさん落ち着いてください!」

「何?」

「軍事費を使ったのは謝ります、しかし誤解があるんです」

「誤解?」


 誤解も何も軍事費をパーティ代に当てたのは事実だと思うんだが?


「軍事費をパーティ費用に当てた、それは事実です……しかし実はその時下ろした額では少しお金が足りなかったので……」

「ので?」

「アインさんのへそくりも少し使いましtどぐはぁ!?」


 今度は飛び蹴りが小栗の顔面に突き刺さる


 そして崩れ落ちた小栗に何度も蹴りを放つ


「……」


「うわぁ……アインさん1周回って無言になっちゃったよ〜」

「しかも無表情ですよ……怖っ」


 そしてしばらく小栗を蹴る鈍い音が部屋に響く


「ふぅ……」


 5分程無言で蹴りを入れていたら流石に喉が乾いたのでワタシは椅子に座りコーラを飲む


「小栗さん死んだ?」

「まだ生きてるんじゃない?陽菜は?」

「死んでるに1000円」

「まだ死んでないと思うんだがね〜じゃあわたしは死んでないに1500円で」

「テメェら人の生死に金かけてんじゃねぇよ!?」


 流石アインの部下なだけあってコイツらも性根が腐ってやがる!


「というかパーティ費用の件アンタらも知ってたんじゃないだろうネ?」


 ワタシが睨むと部下たちは全力で首を横に振る


「アインさん、費用については全部小栗に任せてました、費用を軍事費やアインさんのへそくりから出すつもりと知っていたら私が全力で止めるわ、つまり少なくとも私は無実です」


 相変わらず保身に走る金野


「わ、私も知らない!全部小栗がやりました!」


 幸原も小栗の死体(※死んでない)を指さしながら必死に無実アピールをする


 しかしだ……バカブレインとはいえ頭脳派で性根も腐ってる小栗がこんな自分だけを危険に晒すような真似をするか?自分が殺されるなら何人か味方を道連れにするとドヤ顔で豪語していたやつだぞ?


 そう思い他の奴に視線を向ける、すると何人かが目をそらす


 この反応……やはり小栗のやつ他の奴らにも情報流してたな?


「ふふ……皆さん道連れdぐふぁ!?」


 なんか言おうとしてた死にかけ小栗の鳩尾に金野の鋭い蹴りが突き刺さった


「……()」

「アインさん!小栗の畜生がまだ生きてるわ!早くトドメを!」

「畜生はアンタダヨ!?」


 あんたのその倫理感を悪魔に売ったような性根がある意味怖いんだけど!?


「……っ!www」

「藤宮……笑いすぎ……」


 そんな光景に藤宮は爆笑し稲川はそんな藤宮にジト目を向ける


「ちっ……まあいいや、使ったものはしょうがないしアンタらは今回だけ見逃してやるヨ」

「流石アインさん!やっさしー!」

「だけど小栗のバカだけは後で半殺しにするわ」

「あの……小栗さんもう瀕死に見えるんですが……」

「じゃあ椎名が代わりにサンドバッグになってくれるワk「謹んでお断りさせていただきます」……早いヨ」


 流石の椎名でもこのバカの身代わりは嫌だよね


「はぁ……じゃああまりハメ外しすぎないようにネ」

「え?アインさんどこ行くんですか?」

「ああ?仕事に戻るだけだケド?」


 それはそうだろう仕事途中で拉致されたんだから


「ええーアインさんも楽しみましょうよ〜プログラムとかもいくつか考えてきたんですよ〜?」


 そう言って斉川は『ぷろぐらむかーど』と書かれた紙を広げて見せてくる


「……アンタら人生楽しそうで羨ましいわ」

「え?そうですか?えへへ」

「斉川さん……多分褒められてはないと思いますよ?」


 なんというかやっぱりコイツらも子供なんだな〜と改めて実感したわ


「……わかったヨ、しょうがないから少しだけ付き合ってあげる」

「ほんとですか!?」

「アインさんどうしたの!?賞味期限切れのおにぎりでも食べた?」

「アンタも結構失礼ダネ!?」


 だからコイツらアインをなんだと思ってるんだ


「気まぐれダヨ気まぐれ、ただしプログラムひとつ終わったら帰るカラ」

「はいはーい!よーし、最初のプログラムですが──」

「アイン……」

「何?」


 改めて席に着くと隣の稲川が声をかけてきた


「アイン変わったね、昔より優しくなった」

「……」

「私は今のアインは好きだよ?」

「それはどうも」


『は』と着いているからおそらく昔のワタシは嫌いだったんだろう……いや、アイン嫌われすぎだろ()


「で?言いたいことはそれだけ?」

「うん……」

「そう……」

「……」

「……」


 やっぱり稲川とは話が続かないな……


「えーではまず私から歌わせてもらいます、石倉三波でスカーレッt「あっ!雪だ!」え!?本当?」


 その言葉にさっきまで歌う気満々だった斉川も含めほとんどのメンバーが窓の前に近づく


「雪くらいではしゃぎ過ぎじゃない?」

「いいでは無いですか〜たまには子供らしく楽しむのも必要ですよ」

「……そうかもネ」


 外を見て目を輝かせる少女達、そんな光景を見ながらこんな日もたまにはいいかなって……そんな想いがよぎる暖かいクリスマスだった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る