第8話 アイン・ホワイト出陣
「で?今どんな感じ?」
戦争が始まって1時間は経過したのでワタシはモブを1人呼び出し現状を確認する
「はい!現在オルゴールによる襲撃によって前線に出た帝国メンバー51人の内32人がやられました!」
いや……1時間で32人はさすがに早すぎるだろ
「……続けて」
「はい!そしてこれは言いづらいのですが……打ち取れた敵は未だに0です」
「…………」
わかってはいたけど、こうやって聞かされると来るものがあるな……というか魔法少女50人いて4人の魔法少女の内1人も打ち取れないってやばくない?モブが弱いのか主人公組が強いのか……いや、どっちもか
「今は先程到着した藤宮さんが合流し応戦しています!」
藤宮のやつ……部屋から出たの30分前だったはずなんだが今まで何してたんだよ……
「ほ、報告は以上になります!」
ワタシがイラついているのを感じたのかモブは冷や汗をかいている
「うん……もう下がっていいヨ」
「失礼しました!」
ワタシの言葉にホッとしながらモブは部屋から出ていった
「……アイン、どうするの?」
「アインさんだ『さん』をつけろヨ、デコ助野郎」
「私はデコ助でも野郎でもないよ」
「そういうネタなんダヨ、気づけよ恥ずかしい」
「アインがネタに走るってかなり珍しいね、それだけ今の状況から現実逃避したいの?」
今隣に座って話しているシスター服を着て聖書から目を離さずワタシと喋っている生意気な餓鬼は稲川聖、帝国の特別幹部であり最重要護衛対象でもある、帝国の中でかなり重要な立ち位置にいる魔法少女だ
「そんなんじゃないヨ……ただ上手くいかないことが続いて頭を抱えたいのは確かダネ」
「ふーん?でもその割に冷静だね、いつもなら物とかさっきの魔法少女に当たったりしそうなのに」
「……」
「アイン……私に何か隠してない?」
稲川は聖書から目を離しこちらを見つめてくる、嫌な視線だ……何を考えているのか分からない無機質な視線、ワタシの内心まで見られているようなその感覚にワタシは目を逸らす
「アンタに言う必要性が感じられないネ」
「……そう、まあいいけど」
そう言うと稲川はワタシから興味を失ったように再び聖書を読みはじめた
「…………」
「…………」
「それ面白い?」
「普通」
「そう……」
「ん……」
「…………」
「…………」
ガチャ……
「やあやあ!アインさん、ただいま戻ったよ!」
その沈黙空間にハイテンションな藤宮が入ってきた
「藤宮おかえり……ってかなりやられたみたいダネ」
藤宮の魔法少女服は所々焦げていて肌にも火傷の跡や右手からはかなり出血していて痛々しかった
「はっはっはっ!いや〜4人まではどうにかなったんだけどね?途中で『憤怒』が乱入してきて戦う羽目になったんだよ!」
そんな状態なのに痛みに顔を顰めたり腕を抑えたりするどころかいつも通りに胸を張って笑っている藤宮を私は内心少し不気味に感じた
「……まあいいや、で?アイツらはなんか言ってた?」
「ああ!侵入者は『こちらはできる限り穏便に済ませたい』『アイン・ホワイトと会わせてくれ』『話を聞いてほしい』だってさ」
まあ、それはそうだ……まず柳との戦いは完全に柳が悪いし、その柳を返り討ちにしたら戦争が始まるってかなり理不尽な話なんだよね……
「わかったヨ……じゃああとはワタシがやるから藤宮はここで待機しててネ」
「おや?もしかして話し合いに応じるのかい?」
「はん!まさか?ここまでやられたんだしネ、徹底的に潰すヨ!」
しかしアイン・ホワイトには関係ない、どんな理由でも所有物を壊されたらそれなりの報復をし、邪魔をするなら排除する、それが六王、帝国の女帝アイン・ホワイトだから
「まあだよね、把握したよ!あとアインさん……」
「何?」
「ご武運を祈ってるよ」
「……ありがと」
そんな藤宮の言葉に背中を押されワタシは扉を開けた
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