第5話 雷空同盟
六王
それは実績、殲滅力、そして最高峰の実力を持った最強の魔法少女6人に贈られる称号であり魔法少女界で数少ない戦闘力だけで言ったら大罪の七人衆にも対抗出来るものたちとも言われている
まあ……先代の六王の最後を知っている身からしたらまあ、言われているだけなんだよね〜と、おそらく私が憑依する前のアインも同じことを思っただろう
さて……何故私が六王の話をしたかと言うと何を隠そうワタシ、アイン・ホワイトも六王の1人なのである
しかも六王内での順列は3位……つまりアイン・ホワイトは大罪の七人衆や三厄災を除けば魔法少女内では3番目に強いのだ
しかしそんなワタシ相手でもこの先油断したら瞬殺してくるような化け物がうじゃうじゃ出てくる、それが魔法少女インフェルノなのだ
そんな化け物達に挑むためワタシは今とある魔法少女と接触していた
「おやおや?これはこれはアイン・ホワイト殿ではないでござるか、こんな場所に帝国の女帝殿が一体なんの用で?」
「そんなこと決まってるでしょ?アンタらに話があるんダヨ、で?『雷鳴』のやつはどこカナ?」
この忍者口調で装備も忍者な少女は三澤伊織、魔法少女界では名の通った情報屋で今回の交渉相手の1人だ
「冬木殿は今買い物に行かせてるでござるよ」
「なんで護衛が護衛対象から離れてるんダヨ……ワタシが殺る気だったらアンタら死んでるヨ?」
「ハッハハハ!流石にアイン殿が殺る気なら見つかる前に逃げてるでござるよ」
「あっそ、まあ、アンタならできるヨネ長寿の情報屋さん?」
三澤は魔法少女の平均寿命が1~2年と言われている中で10歳から6年間も魔法少女として活躍していることから長寿の情報屋と言われている魔法少女だ
「アイン殿……その名で呼ぶのはやめてくれぬか?その……いや、魔法少女内では長生きなことはわかってるんだけど、なんかおばさんって言われてるみたいで……その〜」
「三澤、後半素に戻ってるヨ」
ちなみに三澤の忍者口調はキャラ付けで別に忍者の末裔とかそんな設定は無いただのコスプレイヤーだ
ガチャ
「たでーまー……ってなんでここにアイン・ホワイトがいるんだよ」
「やっと帰ってきたネ、冬木輪廻」
ワタシを見た瞬間すごい嫌そうな顔をしたこの少女は『雷鳴』こと冬木輪廻、順列4位六王の1人である
ワタシが考えたのは六王を自陣営に引き入れることだ、六王は大罪の七人衆の奴らよりはましなレベルだがかなりプライドが高く自己中だ、それ故に本編では一回も同じ舞台では戦うことはなかった、同盟を結んでいた土方と刻支ですら……だ
しかし先程も言ったが六王は魔法少女界最高峰の実力者達だ、引き入れることさえ出来ればこれから起こる危機に対抗出来る可能性もかなり上がる
「で?てめぇは俺達になんのようなんだ?」
かなり面倒くさそうにしながらも話を聞いてくれる態度をとる冬木、流石六王の良心なだけあってワタシを見ただけで締め出すような真似はしないようだ
「まあ、単刀直入に言おうか……今異形のもの達……その中でも追うものを倒すための戦力を集めている」
「……」
「追うもの?」
「Zzz……」
三澤は無言で目を見開き冬木は首を傾げいての間にかいた清光雲雀(きよみつひばり)は目を瞑り……いや寝てるなこいつ……
「アイン殿……何故御主が追うものを知っている?」
「なあ……イオン、異形のもの達はわかるが追うものってなんだ?名前からして異形のもの達の1種なのはわかるが」
「帝国の規模からしたら被害者がいてもおかしくないヨネ?つまりそういうことダヨ」
異形のもの達
それは五章:異形のもの達編から登場するその名の通り異形な見た目をした化け物の総称である
存在自体謎に包まれていて何故現れるのか?出現理由は?人間や魔法少女を襲う理由は?など魔法少女を生み出すにゃもんですら理由が分からない多くが謎に包まれた奴ら、それが異形のもの達だ
「ふむ……なるほど……」
「おい、イオン質問には答えな」
「ああ、済まないな冬木殿、追うものとは異形のもの達の中でも最も謎に包まれたやつでな、ただわかっていることは理不尽なくらい強いということそして……その年に18歳になる魔法少女を狙って殺すということでござる」
「18になる魔法少女を殺す?」
「そ、追うものは4年前に急に現れてネ、それ以来18歳前の魔法少女の前に現れては目の前の全ての魔法少女を殺している」
「全てって……まさか!?」
「感がいいネ〜つまりここ4年の間──無事18歳を迎えられた魔法少女は0ダヨ」
衝撃の事実に目を見開く冬木に目を伏せる三澤
「おいおい!そんなヤバいやつならなんで俺が知らないんだ!?そんな話噂でも聞いたことがねぇぞ!」
「そんなの決まってんじゃん追うものは対象の魔法少女、更に周囲の魔法少女も皆殺しにしてるカラ情報が周囲に漏れないんダヨ」
更には魔法少女内での殺し合いが当たり前な世界だ、たとえ魔法少女の死体の山が出来てたとしても大体の魔法少女は疑問にも思わない
「ワタシや三澤が追うものの情報を持っているのはただ運が良かっただけダヨ」
「おい……イオン、なんで俺や他の魔法少女にその情報を流さないんだ?」
「それ……は……」
その問いに三澤は目を逸らす
「答えろ!!!なんでこんな大事な情報を黙ってた!」
「そんなの決まってんじゃん」
三澤の襟首を掴み激昂する冬木にワタシは欠伸を噛み殺し淡々と答える
「あ?」
「アンタらを守るためダヨ」
「俺達を守るため?」
冬木は意味わからなそうに困惑する
「だってそうでしょ?追うものは分からないことが多すぎる、本当に18歳前の魔法少女だけしか狙わないとも限らないし情報の流出がサインにならないともいえない、情報を流した結果大虐殺が起きたなんてなったらシャレにならないヨ」
「……」
「だから情報を流せなかった、その苦悩は相当なものだろうネ、何せ自分の死期が刻一刻と近づいているのを周りには相談できずただ震えて待つしか出来なかったんだから」
「……っち、そうかよ」
そう言うと冬木は三澤の襟首から手を離した
「……」
「さてと……大丈夫そうダネ」
「何がだ?」
理不尽にキレておいて三澤に対し一言も謝らない冬木が首を傾げる
「情報の件ダヨ、それかこの人数での共有は大丈夫とかそんな感じカナ?」
「あっ……ああ!?てめぇ何してんだよ!マジでそいつが殺しに来たらどうするつもりだったんだ!?」
「話さなくてもキレて話してもキレるってアンタかなり理不尽ダネ」
アインも理不尽度は負けてないがこいつも大概だな
「まあ、いいじゃん、それに話さなければどの道18前に殺されるし多少危険な賭けでもやっといた方がいいと思ったんダヨ」
「まあ、そうだな……って意外だな、てめぇても殺されるかもしれないって思うんだな」
「……まあネ」
それはそうだ、ワタシはアイン・ホワイトであってもアイン・ホワイトでは無い、私にあんな自信過剰な生き方は出来ない
「さて本題に入るヨ、冬木輪廻、アンタにはワタシと組んでもらう」
「……拒否権は?」
「あると思う?まあ、18になる前に惨殺されたいんださならいいケド」
冬木にとってもこの話は悪いものじゃないだろう、むしろここで断ることで自分の生存率が下がることは明らかだ
「はぁ〜わーったよアンタと組めばいいんだろ?ただし」
「ただし?」
「俺がアンタに手を貸すのは追うものを含めた異形のもの達関連の戦闘のときだけだそこだけは譲らねぇ」
「ふーん?まあ、いいケド」
正直他にも手を貸してほしいこともあったがぶっちゃけ異形のもの達が1番危険だからこちらもそこは承諾する
「じゃあ契約内容を確認するネ」
「ああ」
「
1、この契約にお互いの組織の事情を巻き込まないこと
2、お互いに手を貸すのは追うものを含めた異形のもの達関連の戦闘に限る
3、この契約は追うものを殺害後破棄される
4、この契約が有効な間はお互いに対し危害を加えることを禁ずる
5、契約を破ったものへのペナルティは第5の罰により執行するものとする
……何か質問はある?」
「質問っていうかペナルティ重くね?」
このペナルティ、第5の罰は契約魔法内で契約を破らせないようにするための5段階ある罰の中の1つだ
罰は下から第1第2第3と強力になり第5は人によってはショック死する程の激痛を与えてくる
「そんくらいしないとお互いに信用出来ないでしょ?」
「いや、そうだけどよ……」
「何?もしかしてビビった?」
「び、ビビってねぇし!?」
「じゃあサインして?」
「……わかった」
そう言って冬木は契約書にサインしたのでワタシもその隣にサインする
「それじゃあ……ここに──雷空同盟を宣言するヨ!」
そしてついに史上初、六王同士による共同戦線同盟が実現した
「アイン殿」
「何?」
帰る準備をするワタシに三澤が声を掛けてきた
「その……えっと……」
「……何も無いんなら帰るケド」
「待って!?……ありがとう」
「……別にいいヨ」
はにかみながらお礼を言う三澤から顔を逸らしワタシは帝国の拠点に帰るのだった
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