1.4.2 学祭準備②
「それなら俺たちでバンドやりませんか?」
俺はそう言った。
「ええええ!? バンド!?」
「……結城君、それ本気で言ってる?」
「マジです。大マジです」
「一応、理由を聞こうか」
「最近、『ぼっち・ざ・ろっく』や『バンドリIt's My Go!!!!!』を見てバンドって良いなあって感化されたからです。やっぱりバンドって青春じゃないですか。俺もバンドでキラキラドキドキしたいです」
「コウ君、ポピパの香澄ちゃん成分出てるよ」
「うーん。面白い提案やけど、ウチらには無理ちゃうかな〜?楽器未経験者ばかりやけん、あと1ヶ月でバンドはちょっとなあ〜」
「あー、ちょっといいですか?」
「何だい、夢川君?」
「僕、楽器経験者です」
「ええええ!?」
「本当に!? 担当は?」
「中学生のときバンド組んでました。担当はドラムです」
「これでドラムとキーボードは確保ですね」
「キーボード?」
「えっ……それってもしかして……?」
「俺ですよ、俺。俺、結城光真はピアノ経験者なのです!! ……キーボードも最近、練習してるんですよ」
「おー、コウ君すごい!! すごい!!」
「光真君、ピアノ弾けるんだ……! カッコいい……」
「でもまだドラムとキーボードだけやけん、バンドは無理やろ。やっぱバンドはギターがいんとなあ」
「あのー、いいですか?」
「何かな、水原さん?」
「私、ギター経験者です」
「ええええ!?」
マジで!?
俺は内心、心臓が飛び出そうなくらい驚いていた。
あの世界一可愛い、超絶可愛い結衣ちゃんがギター!?
彼氏なのに知らなかった……。
彼氏失格じゃん。
「高校生のときバンドリが流行ってて友達とバンド組もうっていう話になって、はい。だからギターも問題ないですよ」
「えー、意外、水原さんギターやってるイメージない……」
「本当だよ。結衣ちゃんのギターカッコいいんだろうな。見たら絶対惚れ直すよ」
「私の音を聞け的な?」
「でも、まだベースがいないけん。リズムは大事やろ」
「……」
シルヴィアが何か物思いにふけていることが分かった。
「シルヴィア?」
「……ハッ。お、お兄ちゃん……」
「何か考えていたようだけどどうしたんだ?」
「あの……あのあの……私も経験者なんです」
シルヴィアはそう小声でボソッと言った。
「ええええ!?」
「お、お兄ちゃん、声!!」
「す、すまん」
「私、打ち明けるのか迷ったのですがお兄ちゃんにだけ言います。……私、バンドを1回追放されたんです」
「追放? ……なんで?」
「私、ベースだったんですけど音楽性が合わない、波長が合わないって理由でバンドを追放されたんです。だからこのことはできるだけみなさんには内密にしていただければと……」
「いや、分かってない、分かってないよ、シルヴィア」
「え?」
「おーい、みんな!! ベースが見つかったぞー!!」
「お兄ちゃん!?」
「コウ君本当!? ……ってシルヴィアちゃん!?」
「シルヴィアちゃんベースできたんだ!! すごいすごい!!」
「ほらな、俺たちは同じ書道部の仲間だ。シルヴィアを悪く言う奴なんていないよ。だから俺たちのことを信用してくれ、な?」
「お兄ちゃん……ありがとうございます」
「みんな、すごいな……。みんな楽器経験者なんだ。私だけ何もできないのが歯がゆいな……」
「優奈、君にも重要な役割があるぞ」
「え? 重要な役割?」
「このバンドのボーカルは優奈、君に決めた」
「ええええ!?」
「優奈はカラオケでいつも95点以上という高得点を叩き出してるだろ。ボーカルにピッタリだぞ」
「コウ君、そんなに私のことを考えてくれてたんだね!! 嬉しい!! 大好き!!」
優奈が俺に抱きついてきた。
「お兄ちゃん……好き……」
そう言ってシルヴィアも抱きついてきた。
前後を美少女2人に挟まれる形になる。
「2人とも落ち着け……。離れろって」
俺には結衣ちゃんが……結衣ちゃんがいるんだが。
「私たち先輩勢は楽器もボーカルもできないけん、見学という形にさせてもらうわ」
「じゃあ、ステージはバンドということで運営委員会に審査してもらうよ」
俺と彼女の恋愛方程式 藍原コウ @aiharakotaro
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