第13話 1.3.1 後輩兼親友

 8月上旬。テスト期間だ。テスト100%の授業を7割くらいとっていたのでそこそこテスト勉強が大変だった。ちなみに2割はレポート100%、1割は課題と平常点という授業をとっていた。俺は新見先輩と一ノ瀬先輩にテストの過去問を借りたり、結衣ちゃんや優奈、シルヴィア、綾人と一緒に勉強会をしたりして何とか乗り切った。


 夏。大学1年生の夏休みだ。そんな開放的な気分のときに俺が何をしているかというとバイトである。夏休みに家庭教師のバイトを始めたのである。なぜ家庭教師のバイトを始めたのかというと時給が良かったことと勉強を教えるのが好きだったからである。またW大学に入るまでの受験勉強が役に立つと思ったからである。


河合かわいさん……河合さんの家はここか!」


 今日が初めての家庭教師のバイトだ。緊張しながらインターホンを鳴らす。ピンポーン。


「はーい、どちら様でしょうか?」


「あの、家庭教師のアルバイトでお伺いした結城と申します」


「ああ、家庭教師の……」


 そして玄関に出てきたのはグラマラスな身体をした女性だった。一言で表せばボンキュッボンという言葉が適切だろうか。若いしお姉さんかな。


「母の美優みゆです。この度は娘がお世話になります」


「何とお母様でしたか! お若いのでお姉様かと思ってました」


「ふふ、ありがとうございます」


 その後、軽く挨拶した後、お茶を頂くことになった。娘さんは部活の練習が長引いて遅れるとの事だった。


「お茶、ありがとうございます。クッキーもおいしいです」


「先生、ちょっと失礼しますね」


 先生と呼ばれるのは初めてで少しこそばゆかった。美優さんトイレだろうか。そこで衝撃的なものを発見する。


 それはブラジャーだった。


 で、デカい。思わず手に取ってしまった。


 何カップだろう。Jか。


 っていうか美優さんには肩ひもがなかったような。


 つまり今、美優さんはー。


「先生、そんな風に持つと恥ずかしいかなって」


 すぐ後ろに美優さんが引っ付いてきていた。背中に幸せな感触が広がる。この感触やっぱりノーブラだ!?


「す、すいません」


「ふふ、大丈夫ですよ。娘には黙っておきますから。2人だけの秘密ですね」


「あ、ありがとうございます」


 その後、娘さんが帰ってきた。そこにいたのはー。


つばさ!? 本当に翼なのか!?」


「せ、先輩!? 本当に先輩ですか!?」


 河合翼。


 バスケ部の主将で俺より背の高いショートカットの爽やかな美少女だ。背が高くイケメンだということで昔から女子にモテていた。翼のファンクラブもあるほどモテていた。(翼も女子だしノンケだけど。)


 俺と翼は小学校のときに出会って中学1年生のときに翼が引っ越すまで一緒に遊んでいた親友である。親友の誓いというものを小学生のとき済ませていた。


 夕日の沈む公園のジャングルジム。


「俺たち、今日から親友な!」


「……親友。かっこいい!!」


 こんな感じである。6年振りの再会である。


「いきなりで悪いんだけどテストするから」


「分かりました」


 そして翼の部屋に入る。モノがあまりないシンプルな部屋だった。それで翼に1時間テストを受けてもらった。


 それが終わったら面談を始めた。


「まず志望校がどこか教えてくれるかな?」


「W大学です」


「W大学!? 俺と同じ大学じゃないか」


「そうなんですか?」


「ああ、うん。俺、今、W大学の1年生だから」


「ふふ、受かったら先輩の後輩になれますね」


「受かるためにも今は勉強頑張らないとな」


「はい、そうですね」


 そこで沈黙が場を支配する。


「あの先輩、大事な話があるんですけど」


「大事な話?」


「ずっと好きでした。付き合ってください!!」

 

 え? え! ええーっ!!! 俺のことが好き!? マジか。


「ごめん、俺には彼女がいるんだ」


 俺には結衣ちゃんが結衣ちゃんがいるからね。


「じゃあ親友でいいです」


 え?


「親友でいいです!!」


 またセフレ宣言されたのかと思った。シルヴィアみたいに。でも親友なら特に問題ないだろう。


「いいよ」


「本当ですか! これからよろしくお願いしますね、先輩」


 こうして翼とは親友から始めましょうということになった。

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