第10話 1.2.5 遊園地デート
俺は水原さん、優奈、夢川君に書道部に入ったことを話した。
「書道部……!? 意外。コウ君のことだからてっきりサブカルチャー研究会か漫画研究会、ラブライブ研究会だと思ったのに」
「履修登録の相談で先輩たちと仲良くなったから入ったんだよ」
「その先輩たちって女?」
「……女だけど」
「もしかして女だから入ったの!? 私という彼女がいるのにヒドい!!」
「いやいやいや、優奈は2番目の彼女だろ。そんなに俺の交友関係に文句言うなよ」
「……決めた。私も入る」
「な、なんだって!? 授業だけでなくサークルも同じとかどんな腐れ縁だよ」
「もう決めたから」
「僕も入る」
「夢川君なら大歓迎だよ」
「ちょっと!! 私と態度違い過ぎじゃない!?」
「うるせーよ」
「ヒドい!! 私、泣いちゃうから!!」
「分かった、分かった。優奈も大歓迎だよ。廃部寸前で人手不足だから助かるよ」
「えへへ、コウ君ありがとう」
「……私も入っていいかな?」
「水原さん! 水原さんなら大歓迎だよ。ぜひぜひ」
こうして俺は新見先輩と一ノ瀬先輩に3人新入部員が入ることを知らせた。二人からは新入部員はいつでもウェルカムとの事だった。
ゴールデンウィーク。今日は優奈との埋め合わせのデートの日だった。俺は駅前で優奈を待っていた。優奈とは家が隣同士なので直接迎えにいくこともできるのだがそれだとデートっぽくないということで駅前での待ち合わせとなった。
「だーれだ?」
突然誰かが後ろから俺の目を隠してきた。またか……。この背中にある幸せな感触は……。
「その声、優奈か」
「ピンポン! ピンポン! ピンポーン! あなたのかわいい彼女優奈ちゃんだよ。」
「その、なんだ……。その服似合ってるぞ」
「えへへ、ありがとう」
今日は遊園地に行くのである。優奈の希望でそうなった。ただ、水原さんと遊園地に来たかった。水原さんには今日のデートのことを謝った。そのとき水原さんは
「私は全然気にしてないから大丈夫だよ」
との事だった。女神だ。女神がいる。
「入園料俺がもつよ」
男だからね。
「えっ、いや私も払うよ」
「そうか、じゃあ割り勘で頼む」
「いやいや、そこは『いや、俺がもつよ』でしょ」
「すまんすまん」
やっぱり優奈といると気が楽だ。水原さんと違って緊張せずに話すことが出来る。これも幼馴染だからだろうか。それとも元カノだからか。もし優奈と付き合っていたらそれはそれで楽しかっただろうな……。
まず俺たちはジェットコースターに乗った。優奈は楽しそうだったが俺は恐怖で足がすくんでいた。まあ、優奈が楽しそうだったから良かったんだけど。
次にお化け屋敷に入った。絶叫マシンで叫んだばかりなのに優奈はそこでも叫びまくっていた。叫ぶ度に俺の腕に抱きついてきた。胸が当たって大変だった。
次にメリーゴーランドに乗った。そこでは1000円で記念写真を撮ってくれるそうで撮ってもらった。優奈は「カップルさんですか?」というカメラマンの言葉に喜んでいた。
最後に観覧車に乗った。
「コウ君、覚えてる?付き合ってるとき結婚したら結城優奈になるから『結城友奈は勇者である』と同じだねって話したこと」
「ああ、覚えてるぞ」
「子供の名前の話したことは?」
「優真と真奈だろう」
男の子だったら優真、女の子だったら真奈にしようって話した。二人の名前から一字ずつとってきたのである。
「そうそう、優真と真奈! ……でももう優真と真奈は生まれないし結城優奈になることもないのかな……。水原さんと仲良いし、相思相愛って感じだし」
「……」
寂しそうにそう言う優奈に俺はなんと答えればいいのか分からなかった。
「でも、誤解しないで。まだ1番目の彼女になること諦めたわけじゃないから」
「え?」
「幼馴染が負けヒロインだなんて私は認めない。最後は私が勝つんだから」
そう言って優奈は帰っていった。
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