第6話 1.2.1 入学式
2週間後。入学式。
今日は待ちに待った入学式である。晴れやかな気持ちでスーツを着る。ネクタイの結び方が分からなかったので1時間くらい悪戦苦闘していた。結局スマホで「ネクタイ 結び方」と検索してやっと結び方が分かった。
そして入学式が終わった。途中、学長先生の長話についウトウトしてしまった。入学式という看板のところで親父が記念写真を撮ってくれた。なぜか優奈の家族には優奈とのツーショットを撮られたが。俺には水原さんが……水原さんがいるんだが。
入学式で驚いたことが一つある。それは新入生挨拶が優奈だったことだ。勉強ができるできるとは思っていたがまさか首席だったとは……。
入学式の後は英語のクラス分けのためのプレイスメントテストを受けた。受験に比べればいくらか簡単だった。
その後は入学生オリエンテーションだった。ここでは出席順だったので優奈とは別れた。
隣りの席に美少女が座ってきた。驚いたことにバッグにラブライブスーパースターの桜小路きな子ちゃんの缶バッジを付けていたのである。同志を見つけて嬉しくなった俺はその子に話しかけた。
「その缶バッジ……。ラブライブ好きなんですか?」
「えっ……あ、はい」
「きな子ちゃん推しなんですか? 俺は花陽ちゃん推しです」
「はい……はい、そうです」
その後、俺たちはラブライブの話で盛り上がった。
「名前はなんて言うのですか? 俺は結城光真です。」
「僕は
「綾人……男だったんですか!?」
「はい、そうです」
なんと綾人はリアル男の娘だったのである。
その時、綺麗な女性(30代スーツ姿)が入ってきて教壇に立った。
「あーあーマイクテスト。マイクテスト。後ろの席の子たち聞こえてるー? 聞こえてたら手挙げてー。……大丈夫そうね。私は
なんと涼風先生はまだ若いのに学部長だったのである。
「みなさん、みなさんはW大学に合格出来たので優秀でしょう。優秀ですが言い方を変えると少し頭がおかしいです。W大学に合格するほどの勉強をしてきたことは一般人に比べれば頭がおかしいです。私は阪大を出ているのでもっと頭おかしいですが」
この人、いきなりディスってきたんだが。
っていうか阪大頭いいな。
「みなさん、待ちに待った大学生活が始まります。でも一つ注意して欲しいことがあります。それは全て自己責任だということです。自主休講するも良し、寝坊して遅刻するのも良し、授業をサボってバイトするも良し。ですが2年後に専門に進むための進振りがあることを忘れないでください。それで成績が悪くなって自分の進みたい進路に進めなくなっても知りませんよ。自己責任ですから」
その後、1時間ほどでオリエンテーションが終わった。クラス分けの紙が貼り出されるので綾人と見に行った。
「だーれだ?」
突然、誰かが後ろから俺の目を隠してきた。これ、デジャブ感あるぞ。この背中にある幸せな感触は……。
「その声、優奈か?」
「ピンポン! ピンポン! ピンポーン!! あなたのかわいい彼女優奈ちゃんだよっ! ……ってかその女誰?」
「夢川綾人君だ。あと、女じゃなくて男だぞ」
「えっ男の子? 私、女としての自信なくすんですけど」
「よろしくお願いします。優奈さん」
「はい、よろしくお願いします」
俺たちはゼミ、2外、情報科学、体育のクラス分けを見た。
「げっ。全部優奈と一緒なんだけど。こんなことってありうるのかよ!?」
幼小中高とクラスが一緒だったが大学でも一緒とは。腐れ縁ってレベルじゃねーぞ。
「もう運命だよね。1番目の彼女に昇格かな」
「なんでロシア語とってるんだよ」
ネットでは難しく不人気となってたから選んだのに。
「ラブライバーならロシア語一択でしょ。ハラショー。かしこかわいいエリーチカ!」
ま、まだ英語があるから。英語はさすがに違うクラスになるはず……。
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