第1回 #架空レビューコンテスト

【054】「戦うアイドル」ここにあり（早く続きを……！）

　鬼門から現れ人々を襲う魔物に、敢然と立ち向かう者達が居た。神の力を身に降ろし、美しき歌に乗せた言霊（ことだま）で邪悪を祓（はら）う現代の巫女（シャーマン）、誰が付けたか、その名は「偶像（アイドル）」。

　謎のアイドルに両親を殺された（と思い込んだ）主人公は、敵討ちのため自身もアイドルになることを目指す。男勝りな言動ゆえにオーディションを門前払いされてしまった彼女だが、突如襲ってきた魔物への必死の応戦の中で、その体は光に包まれ戦士（アイドル）に変身した！

　……という、目を見張る設定と燃える展開で始まるこの作品。続きは……まだない。序盤で更新が止まったまま一年近くが経つのである。これほどのポテンシャルを持った作品が序盤でエタっているだと……？

　いやしかし、これは本当に面白い着想である。女子が戦う作品を書こうとしたとき、作家がまず考えねばならないのは、「なぜ男が戦わないのか」「なぜプロ軍人ではなく素人の女の子に戦わせるのか」という現実的な突っ込みへの対処であろう。その点、本作は巫女や偶像というガジェットを巧みに用い、アイドルたる少女達が魔物に立ち向かう筋書きに説得力を持たせている。「戦うアイドル」ここにあり、だ。

　だから早く続きを……続きを更新してくれ……！