読ませていただきました！
虐められていた2人の復讐譚……と単純に言ってしまうには美しく、愛らしい背徳を含んだ味わいのある物語でした。

M.S.さんの言葉選びには毎回脱帽させられていますが、本作は特に言葉選び/遊びが巧みだったと感じます。冒頭の「学校という此岸から……」然り結婚式での忌み言葉を散りばめたスピーチ然り、文章そのものの出来もさることながら、それらは加えて雨束の特性としても光っていました。

読み終えてから題を見直してみると、2人だけの(が)世界で睦み合い、(小道具としてブーケを使いつつ)クラスメイトの結婚式をめちゃくちゃにして言わば勝ち逃げをした、雨束と叶他にこの上なく似合いの題になっているなあとしみじみ思います。

また少し細かい部分だと、冒頭で「悪い事を占いの所為にできるから占いが好き」としていた雨束が、式の当日、ワイドショーの星占いを見てやはり「笑って越えられたら自分たちの成果、失敗したらワイドショーの罪科」と語るところが好きです(成果/罪科の響きも含めて)。

良き作品をありがとうございました！