第7話 スキル鑑定!
アリスの素晴らしい剣舞が終わり、
いよいよ始まるスキル鑑定に胸が高鳴る。
先程までの肩の痛みは全く感じない。
緊張してアドレナリンが出ているのだろう。
良い結果になるのを信じて、
俺は、一歩前に足を踏み出した。
「俺です!俺がクリス・レガードです」
鑑定士が儀式を開始すると、
目の前にアリスと同様に輝きが生まれ、
瞬く間に全身を覆った。
更に波のように光の輪が会場に広がる。
アリス以上の大きな反応が出ているため、
鑑定結果に期待してしまう。
唾を呑み込み、その瞬間を待った……
「か、鑑定結果が出たぞ」
観衆のざわめきが起こる……
「こ、これは、
スキル名は…………けいだ!」
一瞬聞き間違えたかと勘違いして、
その場に立ち尽くしていると、
父上も同様に思ったのか、口を開いた。
「も、もう一度仰ってくださいませんか?」
心底心配だったようで、
再度、結果を鑑定士に確認する。
「スキル名は、休憩だ!」
そのスキル名が公開された瞬間、
まだ、ざわめきは収まらない。
しかし、その中で俺を批判する声が聞こえてこないのは、従者に信頼される者になれと厳しく躾けられてきたからだ。
まだ事実を受け入れられず、
観衆のざわめきが収まらない。
すると鑑定士が会場に集まる者に大声で叫ぶ。
「無能スキルと判明したわけではない!
このスキルは初めての事例だ!
解明するまでは不明スキルとする!」
未だ発現されていない新規のスキルは、
今後の努力次第で化ける可能性がある。
そのようなスキルは不明スキルと分類されるのだ。
「過去に不明スキルは少数だが事例はある。
成功するか、本人次第だ!
精一杯励みなさい」
剣術スキルを発現させるために、
死に物狂いで訓練してきただけに落胆を隠せない……
俺が落ち込んでいるのを察知して、
父上が声をかけてきた。
「お前もアリスも人生を賭けてきた!
そのお前に女神様がくださったのだ。
クリスよ、胸を張れ!!
お前は無能力者ではない」
父上の言葉を聞いた瞬間、
父上、アリスとの訓練の日々を思い出し、
気付けば涙が溢れ出す。
俺は、父に認められたかったのだ……
今までかけて貰いたかった言葉を聞き涙が止まらない。
「クリス……
自信を持ってお前の剣を見せるのだ!」
そして俺は用意してきた剣を持ち、
剣舞を披露し始める。
アリスよりも動きに無駄があるかもしれない。
キレもアリスの方が上かもしれない。
必死になる姿は無様かもしれない。
不器用でも、必死に剣を握りしめて剣舞を披露した。
すると剣舞が終わった途端、
大きな歓声が起きる。
地響きを感じるほどの拍手と歓声だった。
「クリス様~!」
「応援してるぜ!!」
無能力者は差別される。
しかし差別される人物かは別問題で、
その人物の人間性が大きく関係する。
そして歓声が落ち着くと、
鑑定士が一声かけてきた。
「この鑑定儀式が終わったら、
ご両親とともに来なさい。
不明スキルの研究機関を教えよう」
「はい!宜しくお願い致します。」
深々と頭を下げると、
鑑定士は儀式の終わりを告げる。
「これにて、
本日のスキル鑑定儀式を終了とする」
その言葉によって鑑定の儀式は終わり、
観客も帰宅し始める。
俺も家族や王女様の元へ向かうために歩き出した……
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