第三話 曇りの日
あれからずっとあめは記憶を戻す手伝いをしてくれている。
いろいろなところに行ったり、いろんなものを食べた。
すこしでも手掛かりになる何かが見つかればと思って……。
でも、どれだけ探しても手がかりを見つけることはできなかった。
それでもあめと過ごす時間はとても心地が良かった。
一週間ほどたっただろうか。
その日は空に黒い雲が立ち込めていた。
あめはうれしいような、少し寂しいような顔で僕を見つめた。
「今日で君とはお別れかな。でも安心して。きっと記憶は戻るから。」
そう告げると、あめはいなくなってしまった。
「それじゃあ、またね」
最後に告げられたその言葉が、耳の中で何度も何度も響いていた。
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