第27話 女子高生の憂鬱
文化祭が無事に終了し、私たちには日常が戻った。…のも束の間、高校2年生はイベント事でいっぱいなのだ。
「ではでは〜修学旅行の班決めをいたします〜!」
「とりあえず、あっち側に男子。こっち側に女子で集まって班決めして。」
学級委員を中心に女子達が私の席の近くへ群がった。
私たちの学校は10月に修学旅行で京都へ行くそうだ。定番だなと思いつつ私は席に座ったまま学級委員の指示を待った。
「基本的に班は4人か5人。それぞれでグループ作って。」
女子の学級委員さんはドライな方なんだな。私も班作りに参加しよう…。
(あ、私クラスに友達いないんだ。)
悲しい現実を再確認し、少し浮かせた腰を降ろした。
「いいんちょー!うちら6人なんだけどいいかなー?」
「駄目。33(さんさん)とかに別れて。」
「莉乃〜!私たちの班おいで!」
「ちょっと!莉乃はこっちの班なの!」
「そこ取り合うな。」
女子高生が学生生活において揉める事が2つある。...好きな人が被った時と修学旅行の班決めだ。莉乃さん本人も少し困っている様子である。...こんな美少女うちのクラスにいたのか。
(私はここで待ってればどっかの班に入れてもらえるかな。)
そう思いつつ班決めの様子を見守る。ふと3人でどうしようかと話し合っている女子達が視界に入った。
(あ、あの子たちは嫌だ。数合わせで入れられても困る!ちょっと怖い...!)
私とは住む世界が違いすぎてきっと黒歴史になりかねない。
「...安藤さん。私たちの班に来ない?」
背中の方から声がして振り返ると、おとなしい雰囲気の2人がそこにいた。
「...い...いいんですか...?」
「うん。むしろお願いします。私たちの班、今日お休みの子含めてもあと1人足りなくて...。安藤さん、優しそうだし...あまり話した事ないけど、これを機に仲良くなれたら...いいなって思って。」
「あ...ありがとう...!よろしくお願いします...!」
女神にお礼を言って、この時間が終わるのを待った。
「あたしのクラスさっき班決めしたんだけどさー。女子同士の争いが醜かったー。」
「美姫はちゃんと班に入れてもらえたの?」
「いや?全然?みんな嫌がってたよ。最後まで決まらないし、行かねーから適当なとこ入れてよって言って終わらせたわ。」
美姫はそう言って卵焼きを口の中に入れた。
「...美姫、修学旅行行かないの...?」
「んー?行くわけないじゃん。1年の時の遠足も行かなかったし。行くぐらいなら1人でラーメン食べいくわ。」
美姫ははっきりとそう言った。
「春ちゃんの所は揉めなかった?」
「.....うちも揉めちゃって...どこもそうなんだね。」
あの後結局私は声をかけてくれた子とは別のグループにされてしまった。...そして案の定、3人でどうしようかと話し合っていた女子たちの所へ入れられたのだ。私が反論できるわけもなく、班決めの話し合いはお開きになってしまった。
(あの2人は別の2人組と一緒になっていたな。お休みの子は不登校の子みたいで最初から数に入れてない...結構あんまりじゃないか?)
「.....正直、行きたくないなぁ。」
「.....。」
3人がこちらの顔を見ている。心の声の一部が漏れてしまったようだ。
「...あ、えっと、ほら!どうせならみんなと行きたいなぁ〜...なんてね!」
私たち4人は休日に遊びに行った事はあるが、思い出に残る楽しい旅行などした事が無い。先程美姫が出していた高校1年生の頃の遠足は男女別グループだったし、そもそも美姫は私のクラスにいなかった。そういえば遠足は五十嵐さんが誘ってくれたんだよな...。
「...じゃあさ。修学旅行さぼって、俺ら4人で旅行に行かない?」
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