第10話 ただいま帰宅部活動中
日向の発案に他の3人は顔を見合わせた。
「部活動対抗リレーって挙手制らしくて、出たい部活は申請書出せば出られるらしいんだよ!で、出場人数は4人なんだって!」
日向は私たちの反応に慌てつつ話し続ける。
「この4人でできるだけ思い出作りたいじゃん?僕達今のクラスはバラバラだし...。だからお願い!」
「待ってあたし運動は苦手なのよ!速い人達の中晒されるなんて冗談じゃないよ!」
「大丈夫大丈夫!文化系枠に出して貰えるようにお願いするから!ギター部とか演劇部とかは陸上部やテニス部とは別枠になるはずだからさ!」
予想通り美姫は日向の案に反対した。大事なことなので2回言うが、美姫はスポーツに関しては見る専なのだ。
「いいじゃん!面白そうだし!俺は賛成するよ!」
「嘘でしょ?!ねぇ、春は嫌だよね?」
美姫に聞かれたので私は正直に答えた。
「私も...出たいかな。」
「よし!3対1で決定!!」
美姫はそんなぁ〜と項垂れた。
放課後、私たち4人はグラウンドの端の方で50m走のタイムを計測していた。今日は陸上部がお休みらしく、隅っこなら使っていいよと他の外部活の顧問に許可を貰ったらしい。
「晶は6秒85。さすが〜。陸上部続けても良かったのに。」
「いやー今はもういいんだ。たまに夜走ってるけどね。そうゆう日向も7秒ぴったりで速いじゃん。」
元陸上部2人は多少のブランクはあるものの想像通り速かった。
「春ちゃんは...8秒3。結構速いじゃん!このタイムでクラスで7番って、春ちゃんのクラスの女子どんだけ速いのよ...。」
「私のクラス、運動部の子多いからかな...。」
私はと言うと、想像通り中学生の頃と対して変わってはいなかった。
「美姫...は...10秒5か...」
「...だから苦手なんだってば運動は!!」
そして美姫は想像以上に走るのが苦手だったようだ。
「大丈夫大丈夫!トレーニングすれば今よりは速くなるって!体育祭までみんなで特訓しようよ!」
怒る美姫を宥めつつ、日向は楽しそうに笑っていた。
「これからは放課後に4人でランニングしよう。そして簡単な筋トレに...帰宅部本格的に活動だ!」
日向に続けて、晶は私たちを鼓舞した。
「帰宅部は運動なんてしないんだよ〜!」
美姫の叫びは虚しく、私たちは体育祭までほぼ毎日、部活動という名のトレーニングに励んだのだった。
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