第9話 スポーツの夏?
一般的にはスポーツといえば秋を思い浮かべるであろう。私もその1人だ。
「それぞれが出場する競技を決めまーす。」
だがしかし、私の通う高校は春の暖かさが過ぎ去った6月に体育祭が開催される。まだ本格的な暑さではないにしても熱中症には気をつけたいものだ。
「リレーと徒競走は例年通り各クラス4、5人。リレーは男女共に2人ずつ。徒競走は男女それぞれ5人でーす。」
「基本的には体力測定の記録を参考に選びたいと思いますが、個人の思いも取り入れたいと思います!」
体育委員の2人が教卓に立ち皆をまとめる。
「50m走の記録が速い順に7人ずつ選出すると男子は〜…」
体育委員の1人が男子の名前を次々に挙げてく。『さすが陸上部〜。』『お前意外と足速いんだ〜。』と教室がザワつく。
「女子は上から順に永島さん、志木さん、小沢さん…」
もう1人が呼名を始める。やはり教室内はザワついた。
「…そして安藤さん!以上の7名です!」
「……へ?」
「春徒競走出るの?!凄いじゃん!!」
昼休み。いつも通り4人でご飯を食べながら体育祭の話で盛り上がった。
「春ちゃん足速かったもんね!中学の時運動部だったんだっけ?」
「実は私、中学はバスケ部だったんだ。」
私の母は大のバスケ好きだ。私もその影響で小学生から中学生までバスケをしていた。中学生の頃に出場した大会で怪我をしてしまったのが原因で今はもうバスケは引退している。
「……。」
日向の顔を見ると、なにかを言いたそうにこちらを見ていた。
「…。高校より前の記憶は何故か覚えているんだよね。私もそれは不思議に思うんだけど。」
「…なんだそうだったのね!記憶が戻ったのかと思ってびっくりしたよ!」
日向が私の言葉に安堵の表情を浮かべる。そして話は体育祭へと戻った。
「ちなみに日向も徒競走、俺はリレーに出るよ!」
「みんな凄い!あたしは全力で応援するからね!」
日向と晶は中学生の頃は陸上部だったらしく足が速い。バスケをやっていた頃、足がもっと速くなりたいといつも考えていた私からしたら2人はとても羨ましいしかっこいい。一方の美姫は運動が苦手らしく、私は見る専だからと話していた。
「あーあ。ほんとは僕もリレーに出たかったんだけどなー。」
「さすがに現役部員には勝てなかったね。」
2人のクラスには陸上部の男の子が1人いるらしく、クラスで晶が3番、日向が4番目に足が速いらしい。なぜ2人選出のリレーに3番目の晶が出場するかと言うと、日向達のクラス、つまり1組の生徒の中で2番目に速い野球部の子がリレーへの出場を辞退したらしい。
「あの2人、仲が悪いみたいでさ。野球部の方の元カノが陸上部の今カノらしく...」
「そうゆうのって女子にありがちだけど、男子の方でもあるのね。」
「なんか振られたみたいだよ。野球部の方が。で、その3日後くらいには陸上部と...」
「あちゃー。既にできてたパターンだねそれは。まあよくある話よ。」
...高校生って、怖い。
「あ!それとさ!みんなに提案?相談?があるんだけど...」
お昼ご飯を食べ終わってそれぞれが教室へ戻る準備をし始めていると、日向が話を持ち出した。
「部活動対抗リレーってあるじゃん?直接的な点数に関係ないイベントみたいなやつ。
...それにさ、僕達帰宅部として出ない?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます