第7話 ヲタも沼れば壁にぶち当たる
昼の11時、私と日向は池袋にいた。本日は遊ぶ約束をしていたらしい。
「あー!ここにいたよ!」
「人多すぎて見つけられなかったー。」
美姫と晶と合流する事ができた。
「てか、なんで2人制服なの?!」
美姫が先に合流した私たち2人を見て驚く。
「いやぁ、僕私服全然持ってなくて。」
「わ、私は制服の方が落ち着くから…。」
言えない…。引きこもりだから部屋着と寝巻き、少し歩くスーパーぐらいになら着て行ける服しか持ってないなんて…。と思ったが日向は堂々と白状していた。いや彼の場合は本当に服にこだわりが無いだけのようだ。
「なんか…日曜なのに制服見るの変な感じ。」
「僕と春は日曜も午前授業を行うような超優等生が通ってる高校の在学生という設定でいかがでしょう。」
「それだとあたし達が優等生じゃないみたいな言い方じゃない!」
実際のところ、この中で1番成績がいいのは美姫だ。美人で勉学にも優れているのは私からして羨ましい気持ちと、彼女は自分の友達なのだという誇らしい気持ちがある。
そして晶は成績面では美姫には届かないが、この中では1番のおしゃれさんだ。
そんな十人十色な私たちでも共通点がある。
「早く行こう!アニメショップに!!」
私の好きな物。それはアニメだ。そして今一緒にいる3人もアニメが好きらしい。
「あ!このサッカー漫画おもしろそう!買ってしまおうか…。」
「う…最近アニメ化したからグッズ増えすぎて困る…」
「はあ〜推しのビジュが良すぎる!!缶バッジBOXいくつにしよう…」
「か、かわいい…このキャラ…かわいい…」
みんな好きとは言っても好みはバラバラである。4人で同じ場所にいるのだが一緒に行動はせずにいた。
俺たちがいつメンになったきっかけはアニメだ。アニメが俺たちを結びつけたんだ。と晶は道中語っていた。結びつけたとはいえ、それはきっと蝶結びだったのだろう…。
それぞれの買い物が終わり、私達は店前で再び合流した。
1番最初に合流予定場所へ辿り着いたのは私であり、数分後に1人、更に数分後にまた1人と順々に再会した。
そして戻ってきたら必ず全員この言葉を発した。
「金がない。」
ヲタクはみんなそうなのだろうか。
「自分の消耗品はケチケチするのに推しの為なら諭吉を召喚できる。」
美姫は立派なヲタクだ。私も見習わないと。
「本当はイースタグラムで映えるパンケーキ、みんなで食べに行きたかったけど…今日はコスパいいファミレスにしよう!」
美姫の提案に反対するものはいなかった。
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