第2話 わからないと判らない
「というわけなんだけど俺と委員会変わってくれない?」
ホームルームが終わり、そう言ってきたのは入学してから一度も話したことのないクラスメイトからだった。そのクラスメイトが言うには部活動と委員会活動が被って大変だかららしい。けれど、ただ委員会と部活が被るだけなら委員会をやめればいい、別にこの学校は委員会に入ることは強制していない、その上自分に合っていない、ほかのことで委員会が大変というなら一週間以内で別の委員会の生徒との合意があれば担当の委員会を変えてもいいとなっている。
それを踏まえた上で僕はロボットのように変わらずこう言う。
「それで?」
そう告げる。
そうするともちろんそのクラスメイトは戸惑いを隠せないまま「それでって...」という風に返してくる。
きっと僕が変わってくれると考えていたんだろう。
その提案は僕が変わってくれることが前提なのに...
「僕に不都合しかない」
「で、でも...」
「だったら、僕じゃなくもう一人に言えばいいんじゃない?「部活が大変だから委員会かわって?」って」
そこまで言うとクラスメイトは小さな声で文句を言いながら離れていく。
「本当にわからない...」
さっきのクラスメイトで3人目だ。
僕はさっき話しかけてきたクラスメイトがなぜ今日になって僕に委員会変更の提案をしたのか理由はわかってる。しかし、そうする理由がわからなかった。
そこまで僕は考えると1時間目開始5分前のチャイムが鳴り強制的に思考を止めた。
放課後、僕は委員会のため図書室に来ていた。
今日も変わらず委員会の業務...となるはずだった。
「よろしくね!
朝の委員会変更の犯人は満面の笑みを見せると僕の隣で本棚の整理を始めた。
その犯人こそ
今朝のクラスメイトの要求の理由、それは彼女と同じ委員会になりたいというようなものだろう。
恋愛感情?というやつなのか、理解しがたいものだとは思う。
そんなもので人は動かされるのだから。
「なんで君は図書委員になったの?」
「わぁ、いきなりだね!?」
そう彼女は驚いた。当たり前だ、よろしくって言ったのに急に質問が飛んできたのだから。
でも彼女は答えてくれた。
「私は暇だったの、何か委員会に入ろうとは思っててもいろいろわからないことが多いし、だったら楽そうな図書委員会がいいなって思った。ただそれだけだよ?」
そのようなことを彼女は言った。
まるで何か楽しい体験をしたのだ...と言わんばかりの笑みを見せて。
「なるほど、じゃあ僕は本棚の整理をしてくるからカウンターをお願い」
「えっ⁉私になんで入ったのか聞いたのに何も言わず本棚の整理するの⁉」
「私にわざわざ聞いたのに⁉」
おーい‼聞いてるの‼と声を出して言ってくるが無視をする。
わからない...
彼女が何を考えているのか...
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