プロローグ ありえない話 〜遥香視点〜
『ああ、貴方のことを愛してる。』
『俺も君のことが愛してるよ。』
そういいながら熱い抱擁を交わし接吻する。はぁまたこの類の話か。朝からこんなドラマ見せつけられてどうすればいいのかなぁ…そう思いながら私『笹尾遥香』はテレビを消す。こんなありえない話を見て何が面白いのか、何が言いたいのかわからない。私は自他思う『容姿端麗成績優秀運動神経抜群、まるで完璧な美少女。』などではなく、そこら辺にでもいそうな一般的JK。まだなってないけど。別に友達と恋バナとかも大好きだし友達が彼氏の自慢とかをしてくるときも羨ましく感じる。いや感じないわ、あんなかっこいいかっこいいかっこいい、壊れた鶯時計かっつの。まぁ友達付き合いなので仕方ない。そろそろ朝の用意をする時間。今日は入学式。
「時間あるしお風呂にでもはいろう。」
朝からお風呂に入って準備をするとしようかな。いつも滅多にしないことだし、いいことがあるといいな。私がこの高校を選んだ理由は二つ。都会から少し離れている、偏差値が平均より高いことだ。この二つがあるなら最初から付き合ってるカップルなどいないだろう。これでいたら心の中の穏やかな海が大荒れになって髪の毛がぐちゃぐちゃになるだろう。まぁ冗談抜きで本当にカップルはいないでほしい。せめて私と同じクラスじゃなければいいか。やっぱり恋愛感情とかないな私、おっさんみたいな思考回路。まるで砂漠、枯れてる。ラブコメなど存在しない。そう言って私はお風呂から出た。現在時刻は7:30分。一人暮らしを始め、学校からは徒歩15分の距離にあるのでまだ登校しなくても大丈夫な時間である。そう思いゆっくりと髪をかわかし、制服をきた。
「少し早く出ようかな。」
***
こんなことを思っていたあの時の私を今すぐドロップキックをかましてやりたい。8:45までにつかなくちゃいけないのに今は大体8:30ぐらいだ。入学する日とかみんな早くくるだろう。そこで先に交友関係を作られてしまっては私の高校ライフは影に引き摺り込まれていく。別に陽キャになりたいわけじゃないけどそれはそれでまずい。そういって走っている私の目に信じられないものがうつってきた。
「光くんこんなとこじゃだめだよぉ…遅刻しちゃうよ…」
「ごめん、抱きつきたくなっちゃって。」
「仕方ないなぁ、この私華菜様が胸を貸してあげよう。」
なにしてんだあいつら、同じ高校だよな?しかも今日登校してるのだから一年生。なに盛ってんだよ。ん?何こいつらイチャイチャすんなバカップルが。そこには今日の朝ドラマで見たような熱い抱擁を交わしているカップルがいた。周囲の目線も気にせず、このまま行けばキスまでまっしぐらだろう。こんなゲテモノを私は朝から見てしまったら気絶してしまうかもしれない。そういって疲れかけていた私にフルエンジンをかけてその場からかけていった。
***
(ふぅ…やっと落ち着いた。)
8:35ようやく学校に着いた。昇降口にあるクラス分けを見て私が1年3組であることを知り、クラスの中に入っていた。まだ周りが緊張している雰囲気があったので私は5分くらい伏せて休憩し、前を向いた。まだ前の人と右前の人は来ていない。初日から遅刻なのだろうか。だとしたら相当の強者である。間に合ってよかったぁ。と、ほっとしていた自分に今度はタイキックしてやりたい。
「光くん危なかったね。」
「入学式に遅刻とか洒落にならんからなぁ…華菜は大丈夫?」
「私は大丈夫!元気いっぱいアソ○ソマソ!!」
嘘だろ…なんで朝見たカップルが目の前に座っているの?しかもそこの男、お前のせいで遅刻しかけてんだろうが、何が「ふぅ…危なかったぁ」みたいな雰囲気出してんじゃねぇよ。というか最初の席この2人隣同士なんですか?それでなんで私の前なんですか?神様は私を見放したのかと思うぐらいの出来事であった。こんなのラブコメですらありえない。運命なのか?私はそんなの信じないぞ?そんなことを思っていたが、周りの緊張が少し解けたのか話し始めたためそこに加わり友好関係を作ることにした。バカップルを除いて……HRまだですか?割と目の前のカップルみてるの苦痛なんですけど、というか普通に死ねる。なんだこれ、風邪の時の夢かな?HRやんなくてもいいから席替えだけしませんか?そんなことを考えながら、交友関係を作るために周りと会話をしていると。
「入学式だっていうのに先生が遅れてごめんね、ちょっと会議が長引いちゃって。」
担任であろう女性が言い訳をしながら入ってきた。というか担任だ。担任であってくれ。たのむ、誰でもいいから早く私を救ってくれ。この思いが伝わったのか15分遅れのHRが始まった。入学式は10時から。席替えするには大体1時間ぐらいある。できるね。席替えをしませんか?そうですねできますね席替えをしましょう。あと、あの…HR始まったんでイチャイチャすんのやめてもらっていいですかこの猿ども。脳内ピンクたちが。
「まぁ。遅れたのは仕方ないよね!じゃあ自己紹介する前に席替えしますか!」
開き直るのと同時に神のお告げが来たのかのような席替え宣言。あなたは天使なんですか?女神ですか?神ですか?紙なのか?やっぱり髪なのか?と、脳内がいい感じにバグってきたところで私が地獄と共に正気を取り戻す。、
「なんでこうなるのぉぉぉぉぉぉぉ」
私の心の中が大荒れを取り越して天変地異が起きそうなぐらいになっている中私はその心の中全てに響くような声で叫んだ。席自体は神席。一番窓側の一番後ろ。だけど目の前の席と右前の席は……これは運命なのだろか?そんなの許されるべきことではない。
というか隣の人最初の席も同じじゃなかったっけ、彼も被害者か……
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チュートリアルは終わりました。面白いものが書けるよう頑張ります。よろしくお願いします。
絶対にラブコメにならない男女VSどこでもイチャイチャするバカップル。 餅屋つれ @mocniyatsure
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