絶対にラブコメにならない男女VSどこでもイチャイチャするバカップル。

餅屋つれ

プロローグ ありえない話 〜大智視点〜

 ラブコメというものは二次元でのみのもの。現実になど存在しない。誰しもが思うことであろう。昔からの幼馴染がいてもラブコメにはならないし、隣に美少女など住むことなどない。許嫁なんか今の時代あるはずもないし、悪徳令嬢などいるはずもない。学年のアイドルとお近づきになるイベントもなければ海外から留学生がくることもない。全てがフィクションでできている世界、そんな世界に羨ましいなどいう感情は生まれない。俺はそういう恋愛感情が枯れている男なのかもしれない。こんなことを考えているのも全ては目の前のバカップルが原因だ。

「早く前歩けよ…言えないけど。」

そんなことを呟きこいつらの後ろを歩く。今日が入学式だっていうのに朝からやかましい。ここに入学するのは間違えだったのかもしれない。都会から少し離れている、偏差値が平均より高い、この二つの理由があれば入学したときにカップルはいないとおもってたんだけどなぁ、しかもこいつらカップルこえてバカップルだし。イチャイチャイチャイチャしやがってこの野郎。目の前のカップルは手を絡みあわせて繋ぎ互いを見つめ合いながら歩いている。見てるこっちが恥ずかしい。こいつらも同じ高校なのか、同じクラスにならなければいいな、まぁラブコメなど存在しないし俺みたいなモブキャラはお呼ばれしないだろう。そうたかを括っていた俺がバカだったとまだ知ることはない。


***

 朝5:30、『木下大智』は起床する。そんなことは言わなくていいか。朝には決まってするルーティンがある。家の周りを飼い犬とジョギングし、帰ってきて風呂に入る。そしてコーヒーと共に朝食をとる。これを中学校の時から続けてきた。なぜこの話をするのかって?このルーティンをしない日にはほぼ必ずと言ってもいいほどよくないことが起きる。何が言いたいかわかるであろう、今日俺はそのルーティンをすることができなかった。理由は前日に明日が楽しみで寝れなかったとかそんな幼い理由ではない。理由などどうでもいいだろう。話は戻りルーティンをしなかった今日、人生で一番と言っていいほどの災難がおきる。

「嘘だろ……」

校舎に入る前の昇降口にクラス発表の紙が張り出されているのを見て俺が1年3組だと知りクラスに向かう。今さっきのカップルのことなどその時にはすっかり忘れていた。それはそうだ。カップルが途中でどっかに行き俺も興味がなかったからだ。教室につき出席番号順に自分の席に座る。あと5分で開始のHRなのにも関わらず俺の席の前と左前は空いていた。初日から遅刻なのだろうか、と呑気なのことを考えていた俺。何安心してんだこのやろう。今俺の席の前と左前には今さっきのバカップルが座ってんだぞ、嘘だろとも言いたくなるだろ。

「光くん危なかったね。」

「入学式に遅刻とか洒落にならんからなぁ…華菜は大丈夫?」

「私は大丈夫!元気いっぱいアソ○ソマソ!!」

何言ってんだこいつら、遅刻しかけといてなに言ってんだ?俺がバ○子さんだったら絶対顔作らないからな、絶対。入学式であろう日に遅刻しかけ、イチャイチャするカップル。どんなラブコメ探してもいないだろ。これ以上不安要素を作らないでくれ、頼む。というかこいつら出席番号順に座っても隣なのかよ、なんですかこれこれが運命ってやつですか???そんなものあるはずないだろ。まぁいいどうせすぐに席替えするだろう。そう思った俺は周りの人たちと友好関係を作り始めた。バカップルを除いて…というかHRまだかよ、始業して10分以上経ってるぞ、まさかルーティンしてないのがここまで響いてるのか?だとしたら俺は超能力者だったのかもしれない。まぁ超能力者ならちゃんとルーティンこなすよな。そんなことを思いながら周りの人たちと交友関係を作っていた。

「入学式だっていうのに先生が遅れてごめんね、ちょっと会議が長引いちゃって。」

そう言って若いであろう女の先生が入ってきた。おそらく担任。だよな?今さっきから落ち着きがない。まぁ遅れてきたから仕方ないか。そういってやっとHRが始まった。入学式は10時からなので15分ぐらい遅れてもまだ9:00ぐらいだ。まだ1時間あるな。そうだ1時間のうちに席替えをしよう。そうだそうしよう。さもないと俺の脳みそがバグってしまう。いつまでイチャイチャしてんだこいつら。俺の脳みそが砂漠だとするのならこいつらの脳みそは二人揃ってお花畑であろう。

「まぁ。遅れたのは仕方ないよね!じゃあ自己紹介するまえに席替えでしますか!」

Fooooooooooo!!!!俺勝った!ラブコメが現実に存在しないということが証明された!!俺のテンションは今世界で一番高い。先生が遅れたのが仕方ないって言ってたのを目をつぶるぐらい高い。やったぞ!席替えだ!!って思ったのも束の間の出来事であった……

「どうしてこうなるんだよおおおおおおお」

俺は心の中でそう叫んだ。席の場所は一番後ろの窓側なら二つ目の席。席自体はいいのだ。だがまたしても前と左前が……やはり運命というものはあるのかもしれない。絶対認めてやるものか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

不定期です。よろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る