第52話 奥の手が、有ります

「その鈍い義兄の攻略法を、教えてほしいということでしょうか?」


「そうなのです。私は一度失敗してるので切実でして。」


京佳が深刻な表情で、つぶやくように話した。


「でも、あなたは真成君と同棲してるわよね!」


京佳は私よりも、何歩も先に進んでるんだからね!


「そう言う友香は、真成君と初体験済ませてるし。」


いえ、有利なのはその一点だけなんだから!


「ちょっ、ちょっと待って下さい。」


叫ぶように、私達を止めた歩海。


「あなた達、仲が良いのか悪いのか、どちらなんですか?」


「ん〜、敵の敵は味方ってところかしら?」


「そんな感じ、ですね。」


歩海が溜息をつきながら、


「あ〜、私はあなた達にとって、敵だったと言うことですかね?」


私と京佳は顔を見合わせながら、


「そっ、そんな事は、無かったり有ったり、したりしなかったりするかもぉ?」


「いいですよ、もう。味方しますよ。その変わりに、今晩私が義兄にアプローチ成功して無事に抱かれたとしても、お咎め無しという事でお願い出来れば。結果がどちらでも、私は婚約破棄するつもりですから。」


「あの〜、それってぇ〜?」


京佳が、恐る恐る、尋ねた。


「歩海には、真成君の『攻略法』が有るって事でしょうか?」


「ありませんよ、そんなモノ。私は何年も真成君と同棲していて、一度も手を出されなかったんですから。」


「じゃぁ、どうするのかしら?」


念の為に、参考までに、聞いてみる。


「奥の手が、有ります。」


自信たっぷりに、言い切った歩海。


「あ〜、その方法でうまく行ったら、それを教えてもらえるのかな?」


京佳が期待を込めまくるように、尋ねてきた。


「いいですよ、結果の如何に関わらずお教えしますよ。三人でチャットグループ作りましょう。何だったら、実況しましょうかね?」

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