「はい、実は私、真成君の親友の優樹君からプロポーズされてまして。」

「「…………………………………はぁ？」」

声が揃ってしまった。

何よ、それっ！

「………………………………歩夢、『真成の親友の優樹君』て、真成が命懸けで助けた妹さんのお兄さんてことで合ってる？」

「はい、その通りです。お二人とも、そこまで聞いてたんですね。」

「まあ、成り行きでね。彼は当時の記憶が曖昧で全部事実か自信がないと言ってたけどね。」

「概ね、義兄（あに）の記憶の通りです。何故か私の事は全く覚えていませんでしたけどね。」

せっかくだから、もう少し『情報』が欲しいわね。

京佳と視線を合わせると頷いてくれたので、

「歩夢、あなたはそのプロポーズ受けるのかしら？」

「真成君と相談してから決めようと思ってます。」

「相談する意味は有るのかしら？」

「有りますよ。受けた場合、真成君はフリーになりますから優樹君の妹が真成君にアプローチ掛けられますからね。」

「それは確かなのかしら？」

「はい、確かです。真成君の治療費や学費生活費まで優樹君兄妹の両親から出ていますから。今住んでいるマンションもそうです。家族公認ですからね。囲い込まれてるも同然ですよね。」

「………………………………もう一つ、教えて。他に真成に思いを寄せてる人っているのかな？」

「幼馴染み姉妹と生徒会役員の何人かは本気で真成君を狙ってましたよ。多分今でも『本気』だと思います。皆んな同じ大学進学を公言してますから。勿論、私もでした。」

「歩夢としては、誰が「本命」だと思う？」

「義兄は鈍いので、誰も意識してないと思います。強いて言えば私でしたけど、悲しいことに全く覚えてないそうですから。」

「あ〜、鈍いっていうのは、よくわかるわ。」

「京佳さんは、何か聞きたいことはありますか？」

「私と友香の二人掛かりで、その幼馴染み達に対抗できると思う？」

「それは分かりません。なにせ、義兄は鈍いので。」

そうなのよね。鈍いのよね。

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