第49話 共闘 ⑤

ピンポ〜ン!


友香からだわ。こんな時間に、どうしたのかしら。

音量は最小にしておいたから、自分にしか聞こえないけど。

『緊急』の表題で通知が来た。

なになに?今すぐに駅前の喫茶店まで来いって?


ピンポ〜ン!


追加で通知が。


『義妹襲来!』


………………………………………講義中なのに、立ち上がってしまったじゃないのよっ!

すぐに座り直して、友香に


『講義中、終わったらすぐ行く!』


講義終了まであと5分程。

足踏みなしながら、鐘がなるのを待った。



※※※※※※※※※※



京佳が、息を切らせながら私達が待つ喫茶店に飛び込んできた。


「何やってるのよ?そんなに急ぐこと無いでしょっ!」


「………………………………………はぁ?だって、あなた、『緊急』って通知を送ってきたじゃないのよっ!」


「あ〜、ゴメン、気が急いていて、つい送っちゃったわ。」


「…………………………………なにそれ?」


「訳を聞けば、納得するわよ。」


「そう、じゃ、聞こうじゃないのよ!」


「慌てない慌てない、紹介するわね。」


落ち着くように促してから座らせて、


「こちら、真成君の『義妹』さんの渡会歩夢さんよ。」


「………………………………………えっ?」


ポカーンとして、開いた口がふさがらない様子で、呆けた京佳。

気持ちはわかるけど、その間抜け面は良くないと思うの。


「……………………………………なんで?」


「あ〜、何故か、仲良くなってしまったのよね?」


まあ、私にも、この状況は意外だったから無理もないんだけど。


「と言う訳で、三人で少し話し合いたいのよね。」


呆けを通り越して、無表情に変わった京佳。

この子、大丈夫かしら?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る