第44話 共闘 ②

タクシーに乗り込み、暫し走る事十数分。線路沿いの街道を走り続け二つ隣駅のロータリーの降車場で降ろされた。


「私の部屋で悪いんだけど、誰にも聴かれたくない話になりそうだから勘弁してね?」


駅直結のマンションへ続く通路を進みながら、藤原友香から話し掛けられる。

……………私としては、そんな『秘密の話』にはしたくないんだけどな?


エレベーターに乗り込み、ドアが閉まったところで聞いてみる。


「藤原さんは、私の事を渡会君から何処まで聞いているのかしら?」


「……………全く同じ質問をする事になるんだけど、全部正直に答えてくれるのかしら?」


「……………緊急事態だから、何でもお答えするわよ。『敵の敵は、味方』って言うくらいだしね。」


「そっか〜、貴女にとって、義妹さんは『敵』なんだ〜?」


エレベーターが止まり、開いたドアをくぐりながらボソッと呟く彼女。


「コッチよ!散らかってるけど、勘弁してね。昨日渡会君が来た時のままだけど。」


昨日、真成君から聞いてはいたものの、チョットだけ動揺する。

同棲している私のほうが有利だと思ってはいるけれど、真成君はこの部屋で彼女と……………

今はそれは忘れて、共闘出来るか確認しないとね。

何もしなければ、真成君は何処か遠くへ行ってしまいそうだから。

取り返しがつかなくなる前に、出来ることは何でもやっておかないと後悔しそうだから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る