第41話 友達 ④

二度の『整形手術』を経て、『化け物』から『チョット変わった』顔まで回復した僕は、親友の篠原優希が通う高校に少し遅れて入学した。

無試験で、面接だけで、特別扱いだったけど。

ただでさえ容姿で目立つのに、更に目立つことこの上ない。

あの事件から、9ヶ月以上が過ぎていた。


リハビリは辛かったけど、幸い知能や学習能力や身体能力は影響無かったようで、学習面での記憶力や体力、成績は事件以前と比べても遜色無かった。


ただ、断片的な記憶や情報が欠落しているのが地味に辛かった。

特に、失われた記憶に脈略が無いのが苦労した点だった。

歩夢のように完全に失われていたり、名前ぐらいしかわからなかったり、顔はわかってもそれ以外がわからなかったり。


結果、トラブルの原因になるのは何時ものことになった。


一番困ったのが、『女性関係』にだらしないと思われる事だった。

近しい女子や幼馴染からさえ、歩夢からさえも『大っきらい!』と言われることもあった。


新たな記憶も断片的に失われるので、男女問わずだらしないと思われるのには閉口した。


事情を知っている優希と何人かの幼馴染が、交代で出来るだけ一緒に過ごしてくれてはいたが、それでも解決しないことは多々あった。


努力が報われたのか認められたのか改善してきたのか、生徒会長まで勤め上げる事が出来た。

それでも時々発作的に泣き叫びたくなり、一人になれないのは治らなかった。


歩夢との同棲生活は続いたが、卒業して大学進学の為に離れるまで関係は改善しなかった。




※※※※※※※※※※※※※※※




長い、長い話だった。

聞かなければ、良かった。

聞きながら、後悔した。

それでも、聞きたいと言い出したのは私。

途中で逃げるわけには、いかない。


真成君によると、この話が全部本当の事か自信が無いと。

彼の中の記憶が、事実なのか聞かされて上書きされた情報なのか区別がつかなくなっているから。


彼の『おかしな』行動は、脳の機能障害が原因の発達障害に近いのかな?

そう考えれば、これまでの彼の行動や発言に納得がいく。


折角、同棲生活が始まったんだ。

先は長いんだからね。

『二人で』、なんとかしていこう。


それよりも、同じ話を『友達セフレ』にもしていると言うんだから彼が『おかしい』のは、『病的』なのは間違いないだろう。


早急に、その『友達セフレ』とコンタクト取らないといけないな?

情報交換して共有しないと。

彼女の事情も気になるし。

『手遅れ』になる前に。


あっ、それよりも、私の『初体験』が、またお預けになってしまった………………


悲しい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る