第34話 悪魔の囁き?魔女の囁き?
「実は、私にも『婚約者』が居るの。」
「友香に『婚約者』がいるとして、とても君が『セフレ』を求める様には思えないんだけど?」
「真成にそう思ってもらえるのは嬉しいかもね。」
「だったら、何で!」
「婚約者と言っても、政略結婚でね。私の意志とは無関係なの。」
「それこそ、何で?」
「去年の夏休みにね、婚約者とブライダルチェックをしたのよ。そしたら、彼が原因で子供が望めない事がわかったの。でも、政略結婚だからそれを理由に私から婚約破棄することは出来なかったの。」
「それ、酷くない?」
「そうなんだけどね、婚約者の方が力関係では上でね。でも、条件は出させてもらったの。跡継ぎは彼の身内からの養子でも良いけど、私は自分の血を分けた子供が欲しいって。」
「その条件、先方は飲んだのかな?」
「当然、揉めたわよ。」
「…………………………」
「最終的に彼が出した条件が有るの。大学進学して、その間に自由に「恋人」を作ってもいい、その結果恋人と「子供」を作れたら彼の一族何処かの養子として引き取るって。何人でも。勿論、断ったけどね。
私は、自分の血を分けた子供と一緒に暮らしたいのよ。それは譲れないから。」
「………………それ、学長、いや、君の
「勿論知らないわよ?祖父は今回の件で婚約は破棄されるだろうと報告受けてるから。
知ってたらそれこそ全力で婚約者を潰しに行くでしょうね、私の為に。祖父の余生全部懸けてでも。」
「友香は、そこまでわかっていて、」
「真成?貴方、やっぱり鋭いわね?わかっているからこそなのよ?婚約者も、祖父の話をしたらわかってくれたわ。
これは、今話すつもりは無かったんだけどな。
私と婚約者二人だけの密約だけど、大学卒業前に彼から婚約破棄してくれることになってるのよ。私の『不貞行為』が理由でね。
その『理由』と引き換えに貰える物は貰う約束になってるんだけどね。隠れて慰謝料とか財産とか。この部屋もその一つよ。もう私の名義になってる。
婚約者に男のプライドがあるのは理解出来たからね。
私も彼に対して愛情がなかった訳でもないしね?
恋愛感情は無かったけど。
その対価としてなら部屋の三つ四つくらい安いものでしょ?
私は高校の三年間、婚約者として拘束されたのもあるんだからね?」
「僕に、その『不貞行為』の相手になってほしいと?」
「結果として、そうなるわね。まあ、実際に『行為』をしてなくてもだけどね。
勿論、私は真成と最終的には結婚したいけどね?
さあ、全部話したわよ?協力してくれる?」
「だから、常に僕にくっついてるのかな?
それ、悪魔の囁きに聞こえるんだけど?」
「悪魔の方が、私より優しいかもね?
むしろ、『魔女の囁き』のほうが近いかも。
ピッタリくっつくのは、貴方を本当に好きだからなんだけどな?
ところで、今度は真成の悩み事教えてくれるかな?あるでしょう?その様子なら。」
「…………恋人と、上手くいかなかったんだ。」
「それって、もしかして、初体験?」
「っ!何で分かるのっ!?」
「真成?貴方、わかりやすいのよ?絶対に浮気は出来ないわね。それで?」
「今日にでも何とかしたいんだけど、知識も、勿論経験も無いから………」
「よしっ、じゃぁ、良かったら、私で『練習』してみる?」
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