第33話 訳有
渋る真成を無理矢理説得?して、私の住むマンションにタクシーで向かった。
電車で二駅と近いとはいえ、途中で邪魔が入ったり真成の気が変わらないように。
もしかして、これが最後の『チャンス』かもしれないと思いながら。
私が一人暮らしをしていることは、部屋に入るまで話さないつもりで。
ドアを開け招き入れたところで、
「一人暮らしで散らかってますが、どうぞ〜!」
駅直結複合施設の上層階にある高層マンションの少し広めの1LDK。
チョットだけ戸惑った感じの彼を、半ば無理矢理部屋へ引きずり込んだ。
「友香、一人暮らしだったんだ?」
部屋中を見回した後、引き攣った笑顔と声で尋ねる真成。
「そうよ〜、今までずっ〜と女子校で実家暮らしだったから、無理言って一人暮らしお願いしたんだ〜。」
ソファに掛けてもらい、傍らの干しっぱなしの下着をわざと放置したままお茶の用意を始めた。
昨日身につけていた、かなり派手な「勝負下着」だったけど。
因みに、今日身につけているのは、もっと派手!
元々、今日勝負するつもりだったし?
ベッドには、同じく昨日脱ぎ散らかした洋服達。程良く『エロさ』を醸し出しています。
これは、意識した訳ではないけれど。
「もしかして、一人暮らしの女の子の部屋を訪ねるのって、初めてかな?」
「うん、チョット緊張するね。」
テーブルにお茶を置き、真成の隣に腰掛けて密着して、
「真成?今日はなんか暗かったけど、何があったのかな?話せることなら、聞くよ?」
「ん、先ずは、『お付き合い』の返事を。」
「っ!わかったわ、お願い!」
いきなり、本題ですか?
「昨日、話したとおり僕には別れるつもりの許嫁がいて、その
「!待って!全部言わないで!」
「………でも、友香と友達以上の関係を求め続けるのは虫が良すぎるしね。」
「真成、教えて!今日の貴方は、おかしかったわよ、何かあったんでしょう?」
「友香には、わかるのかな?
今日、どんな返事しようとしてて迷ってたのと、チョット恋人と失敗して落ち込んでただけなんだけどね。」
「私は真成の何番目でも良いのよ。真成さえ良ければ。ちょっと
「………………昨日言ってた『セフレでも』って事かな?その訳有、聞こうか?」
「セフレとは少し違うんだけど、趣旨は同じね。訳を全部聞いたら協力してもらうからね?」
「僕に出来ることなら。」
彼の答えに、心底安堵した私。
これで、彼との今の関係が破局するのだけは避けられそう。
「実は、私にも『婚約者』が居るの。」
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