第32話 休講からの………
兎に角、情報収集。
どんな些細な事でも、漏らさずに。
真成に、さり気なく、今までと変わらずに接しながら。
今日の午前の科目は、必修科目の語学。
1限は英会話で、講義の前半はテキスト講読で後半はLL教室に移動して前半の講読内容を踏まえて個別指導。
2限は必修選択科目なので、
「真成は、何を選ぶのかな?」
「ん〜、ロシア語を考えてたんだけど、資料を見ると講読中心みたいだから思案中。
少人数でやる講座みたいだから、参加してみて良さそうだったらそのまま履修登録しようかと?」
「?何か駄目なのかな?」
「今の『仕事』の役に立つロシア語会話講座が有ればな〜と。」
「仕事?」
「あ〜、親友の実家が小さな商社もやっていて、訳あって手伝ってるんだ。国内だけでなく、海外取引も有るから。」
「えっぇ?どうやって、今、手伝えてるの?出来るの?」
「あっごめん、話が飛びすぎたね?
今やってるのは、リモートで経理処理したり、同じくリモートで管理システムのSEしたり?
語学は将来、役にたつかな〜と。
兎に角、いつも人手不足だから、親友のお役に立てればと。
まあ、僕が好きでやってるのもあるけど。」
どういうこと?
彼が優秀なのはわかってたつもりだけど、それじゃぁ私が彼を取り込もうとしても、明らかに私は相応しくないんじゃぁないかな?
釣り合わなさすぎて。
お馬鹿な私では、彼の隣には立てない?
「話を聞くに、真成?凄すぎるんだけど?
いつから仕事手伝ってるのかな?」
「全然凄くないよ?本格的に始めたのは、2年前位かな?」
そんなこんなで、無事に午前中の履修登録が終わったところで学食に早めに移動してカウンター席を確保。
今日は、B定食。
美味しい。
「友香?語学の選択科目、ホントにロシア語で良かったの?」
「真成と一緒なら、頑張れるよ?会話相手になってあげる!一緒にロシア語で愛を囁きあえるぐらいになってあげるからね?」
「期待してるよ〜、そんなに格好いいロシア人の恋人が欲しいの?」
そんな訳、無いでしょ!
この、鈍感男!
「真成は、食べられないもの有るの?」
「ないかな〜?食べたい物あれば自分で作っちゃうし、作って頂いた物は有り難く頂きますから!」
「やった〜、私が作っても喜んで食べてもらえるのね?」
「えっ?作ってくれるの?」
情報収集の為に、雑談を装いながら、わざと話をアチコチに飛ばしながらとりとめのない話を続ける。
少しだけ、ぎこちない彼の応答から探るように、会話を続ける。
もし、彼の話がお断りだとしたら、今の彼の、私への対応には疑問が残るんだけどな?
有益?な情報が得られないまま、3限の選択科目の講義室に移動すると、突然の休講のお知らせ。
「えっぇ?どういう事?」
入口で職員が履修の参考資料を配布していて、それを確認してから希望者は履修登録票を出口の職員に渡して登録完了のようだった。
「元々履修するつもりだったんでしょ?サッサと登録票出してお茶でもしましょ?」
「そだね〜、学食戻る?」
あっ、もしかして、これは、チャンスなのでは?
「真成は、今日はこれで終わりでしょ?良かったらなんだけど、これから、私の部屋へ、一緒に行ってお茶しない?」
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