第25話 ………だったんだ?

「………京佳、あのっ、さっきの、話の、続き………」


あの後、気不味くなって、無言で食器を片付けた後、テーブルに戻った私達。

そんな状況でも、お茶の用意を忘れないのは何故なんですかね、口籠る、真成さん?

ふぅっ、あ〜、お茶が美味しい。

でも、洗い物は、もう、後回しですね?


昨日からの、ホンの僅かな時間のお付き合いですが、そんな、挙動不審な、多分体中が真っ赤になった彼を見るのは初めてですね?


そんな彼のお顔を見て、私は少しだけ、落ち着けました。

だって、さっき、彼が、私に、女としての、好意を持っていることを、ハッキリと言ってくれたのですから。


今までの、『冗談』ではなく、ハッキリと。

私は、それに応えなければなりませんね?

もう一口、お茶をすすってから、伝えます。


「『美しい』って言ってくれて、ありがとうございます。『見つめて』くれて、嬉しいです。」


「!あっあのっ、誤解しないでぇっ……、」


「ですので!……………私は、それに、応えようと思います。」


「…………………………………………」


「先に、お風呂、済ませてきますね?」


真っ赤なお顔で、固まったままの真成さん。

、じっと、彼の瞳を見つめてから、席を立って部屋へ戻ります。


ドアを閉めてから、これからの準備を。


勝負下着?チョット違うな?

ネグリジェ?持ってないし!

今度、買っておこう。

裸のまま迫るか?香水持ってないしな。

ムード無いしな?


あった!これだぁ〜っ?


引越し直前に、姉から渡された、いざ!という時用の道具一式?

薄いゴム製品を始めとした、色々。

その中でも、これは、絶対に、使わないだろうな〜と、思っていた、これ!

これを纏えば、彼は………………………



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



京佳に、席を立つ前に、睨むように、見つめられて………………………………怖かった!

やってしまった!やらかしてしまった!

自己嫌悪の極み。


テーブルからソファーに移って、だらしなく足を投げ出します。


が、京佳が、シャワーを使っている音が、微かに聞こえてきます。


この状況で興奮してしまって、頭の中が沸騰してしまっている自分に、嫌悪感を持って、更に落ち込みます。


俯いて呆けていると、いつの間にか衣擦れの音と共に、京佳が目の前に立っていました。

その足元から、視線を上げていき、途中、自分の目を疑いながら、顔を合わせると…………


思わず、無意識で、右手を差し出します。

京佳も、僕が差出した手を取って………


京佳の腰に左手を回して右手を引きながら僕の膝の上に後ろ向きに腰掛けさせました。

そして、確かめる為に、左手を胸に、右手を股間に這わせます。

恥ずかしそうに、僕の方に顔を向けた京佳と唇を合わせながら、確信します。


「京佳?あのっ!」


「はぃ?」


「僕は………嬉しいです………」


「っん、私もっ!」


両掌を胸に這わせると、恥ずかしそうに、が応えます。


もう一度、唇を塞ぎ、を弄りながら、尋ねます。


「京佳、君は………」


「はぃ?」


目を合わせた京佳は、不思議そうな表情をしました。


「君は…………おっ、女の……こ………だったんだ?」


「………………………はぃぃっつ?!」

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