第22話 告白?
「ただいま〜っ!」
無事に、元気に、桜井さんがボストンバッグを抱えて帰って来ました。
玄関まで、ピンクのエプロン付けて、菜箸とお玉を持って出迎えて、
「京佳、おかえり〜!先にご飯にする?お風呂にする?それとも、わっ・たっ・しぃっ?」
……………………定番のギャグだと、おもったんだけどな〜?
受けなかったぁ。
ボストンバッグを足元に落として玄関先で固まったままの桜井さん。
裸エプロンの方が良かったのだろうか?
「ふぇっ、あわっ、のっ、まっ、真成さんでぇおっねがいしますぅ?」
あっ、乗ってくれたね?
ギャグが滑るのほど、悲しいことは無いからね?
「冗談は置いといて、全部終わった?」
「………ふぁぃ、おわっりますぅいたぁ?ぅえっ、じょぅだぁんっ?」
あれ、まだ挙動不審?
どうしたのかな?
また可愛いな!
本当に、惜しいな。桜井さんが女の子だったらどんなに良かったことか?
落ち着いてもらうために、お茶でも如何ですか?これでも、美味しい日本茶淹れられますよ!自信あるんだからね?
ソファーに掛けてもらい、テーブルに僕自慢の日本茶を。
ひと息つけたところで、
「で、どうだったかな?」
「ふぁいぅ、………あっ、お茶が美味しい!
大体終わりました。明日もう一度小物を運んで鍵を返してアパートは終わりです。教務課で転居の届け出もして、奨学金の申込みも受け付けて貰えて給付も内定で決まりました!」
あっ、復活してくれました。
「良かった!あれ?給付?貸与じゃぁなくて?」
「うん!給付!辞退した人が二人もいたそうで、次点だった私に給付が決まりました!
あっ、そうだ、昨日の夕食に続いて朝食昼食しっかりと採ったお陰か、今日は絶好調でした!ありがとうございました!」
「どういたしまして!そう言ってもらえると、作り甲斐があるよね。じゃぁ、落ち着いたところで、真面目にルームシェアのルール決めようか!」
「はいっ!ところで肝心の部屋代を聞いてないんですけど?」
「ん〜、当分要らないかな?」
「ふぇ?ナンデデスカァ?」
「だって、僕が京佳を気に入って一緒に暮らして貰うんだからね?」
「ふぇぇ、あのぉ、良いんですかぁそれでぇえ?」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
お揃いの帆布バッグを肩に斜めに掛けて、今日は軽いけどパンパンに膨らんだボストンバッグを手にルンルン気分で玄関を開けたら………
まさかのピンクエプロンでのお出迎え。
『…………………それとも、わっ・たっ・しぃっ?』
フェぇっ?そして、まさかの先制攻撃?
今日は、もっと、頑張ろう!と思って気合を入れて、覚悟を決めて、玄関を開けたのに、先回りされてしまいました。
『冗談は置いといて…………』
『……………僕が京佳を気に入って一緒に暮らして貰うんだからね』
帰ってきてから、渡会さんに、いいように振り回されてしまっています。
ルームシェアの部屋代を要らないなんて、どういうつもりかと思ったら、まさかの『告白』?
私、今夜、どうすれば、良いのでしょう、か?
なんてお返事をするのが正解なんでしょう、か?
彼は、どこまで本気なのです、か?
そういえば、呼びかけが、いつの間にか、『
本当に、本当に期待して良いのかな?
ここから、また、『冗談』って言われたら、私、多分、立ち直れませんから!
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