第13話 お引越し
「ところで、いつ引っ越して来れますか?」
話が弾み、でも、ルームシェアの件はなんにも話題に出なくて、なんか観察されてるのかな〜良いのかな〜と思いながらも久しぶりのボリュームのある美味しい夕食と他人との会話が嬉しくて楽しくて。
あ〜、これが彼氏になった渡会さんとのデートだったりしたらな〜と今日の本来の目的を忘れ去ってしまった頃。
突然の問い掛けに、フォークを咥えたまま固まってしまった私。
「あれ?僕、なんか変な事しましたか?」
彼がフリーズした私を気遣ってくれるものの、状況が理解できない私はそのまましばし再起動出来なかった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「あれ?僕、なんか変な事しましたか?」
呆けた表情に少しドキっとしたのは内緒で。
駄目だな?男性にときめくなんて!
「…………いえ、荷物はほとんど無いので、すぐにでも引っ越せますが?マンスリーマンションなので、今すぐ解約すれば家賃は今月分までの支払いで済みますので。
こちらで落ち着いてから家具や日用品を揃えようと思っていたら、実家からの仕送りが期待できなくなって急に貧しくなってしまったので………」
「荷物はどれぐらい有りますか?」
「…………旅行トランク一つとボストンバッグに一つ分位です。」
「そういう事情ならば、今日引越し済ませちゃいましょう!近くのレンタカー屋さん24時間営業ですから、予約しちゃいますね?」
スマホにアプリをインストールしてあったので、直ぐに借りられた小型ハッチバック車を今から朝までのつもりで12時間だけ予約した。これが料金が一番安かったのもあるけどね?
「あれ?どうしました?さあ、冷めない内に美味しく食べましょうよ!」
フォークを持ったまま固まってしまった桜井さんを促して、食事を続けた。
デザートまで済んで、コーヒーが運ばれて来た後に、
「ご馳走さまでした。デザートも美味しかったです。…………あの、良いのですか?私で?しかも、即決で?」
「あれ?その為の『委細面談』ですよ?一緒に食事して合わない人とは、一つ屋根の下では暮らせませんからね?違いますか?条件やお約束は明日打ち合わせしましょう!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます