第11話 確信

「今日一日、彼と一緒に過ごして確信しました。是非彼を我が一族に取り込むべきです。」


「それは、難しいと思うぞ?」


「………何か知っているのですか?」


「いや、奨学金給付を断って地元の財閥の支援を受けている以上は、卒業後にどうなるかくらいは想像できるだろう?それとも、何か勝算でもあるのか?」


「彼は、その容姿のせいで女性からの好意を受けるのに慣れていないと感じました。恐らく地元では、彼の本当の能力を知る周りの知己の女性達が彼を巡って牽制しあっていたのでしょう。」


「どういうことかね?」


「彼は、周りの女性達から、見掛け上からの扱いの悪さのせいで自己評価がかなり低いと感じました。そこを突いて強引に迫ってみたのですが、タイミングが悪かったようで攻めきれませんでした。明日からは、身体を張ってでも彼を攻め落とそうと思います。」


「本当に、それで良いのか?たった一日、一緒に過ごしただけで彼に決めても。」


「お祖父様もそう思ったからこそ、彼を調べさせたのでしょう?」


「…………お前は、本当に母親に似てきたな?」


「褒め言葉ですか?それとも………」


「いや、お前の母親のように、いざとなれば彼をものにする為に藤原家をも捨てる覚悟すら有りそうに感じたからな?」


「あっ、その手が有りましたね?考えておきます。」


「おいおい、やぶ蛇だったか?」


「兎に角、四年間あるのですから、何があっても絶対に諦めませんからね!勿論、一気に決めるつもりで動きますから。」


「敢えてもう一度聞くが、本当にそれで良いのか?面食いだったお前が、彼を選ぶとはな?

婿探しに大学に来たはずが、嫁に出すような事になるやもしれぬとは?」


「彼は、外見も私が磨けば化けますよ?

私が学長の孫娘だと知っても、藤原一族のお嬢様だと知っても、彼は態度を変えなかったのです!初めてですそんな扱いをされたのは!!

逃したくありません。

お祖父様こそ、それでよろしいのですか?」


「私達の時代とは、昔とは違うのだから、一族の繁栄より孫娘の幸せの方が一番大事だろう?」

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