第7話

美味しい晩御飯を終えると、メイドさんの案内で客間に通された……のだが。


「なんか、すごい。」


セリーナさんの部屋程ではないが、日本での私の部屋とは比べものにならないくらい広い。

ベッドには天蓋まで付いてるし。

立派すぎる部屋をあてがわれて逆に落ち着かなくなってる私に気付いているのかいないのか。


「湯浴みの用意も出来ております。

お一人で入られますか?必要であればお手伝い致しますが。」


と、にこやかに話しかけてくるメイドさん。

ちなみに、セリーナさんの部屋からずっと案内やらをしてくれてた人で、マリーさんというらしい。

見た目は20歳くらいで、金髪を綺麗にまとめている美人さんだ。


「え!?

大丈夫です!一人で入れます!」


お風呂の手伝いってなに!?

体洗われたりするのか何なのか今ひとつわからないけど、そんなことされたら恥ずかしくて死ねる。


逃げるようにお風呂に入れば薔薇の花びらがたくさん浮いてるし……。

何かもう色々凄すぎて訳が分からなくなってる。


お風呂を出たら、あれよあれよと言う間に綺麗な服を着させられてしまった。


白い薄手のワンピースみたいなそれは、肌触りも良くてかなり上等なものだと思うが夜着らしい。


せっかくお風呂に入ったのに、慣れない環境のせいか、身の回りの物が何もかも高級過ぎるせいか、ぐったりとソファに凭れかかっているとマリーさんがお茶を淹れて来てくれた。


お礼を言いながら一口すすり、思わず目を見開く。


「わぁ、すごく美味しい。

これ、ハーブティーですか?」


バイト先の喫茶店では出していなかったが、興味があって自分で淹れてみたことがある。


「はい。お疲れのようでしたので。

お口に合ったようで何よりです。」


「私も自分で淹れてみたことあるんですけど、こんな美味しくは出来なかったです。

何かコツとかあるんですか?」


「そうですね。経験の賜物と言いますか。」


にこやかに応えてくれるマリーさんに是非ともコツを教えて欲しいと頼んでみたが、それには困ったような顔をされてしまった。


曰く、「お嬢様の大切なお客様にそのようなことをさせる訳には参りません。」とのこと。


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