エピローグ
ライオが手配したギルドのモンスターを回収する車両に、死んだモンスターが回収され、別の車両には会社に雇われていた子供たちが乗っていた。
その様子をスーツを着たアキナは、外から見ていた。
「ジーマンさんはいい社長だったな。自分が死んだ後の子供たちの行先をちゃんと用意してたとは。」
「その行先がいいところだといいけどね。それに・・・俺達はあの人を許せない。」
「そうか・・・そうだな。」
アキナの横にはライオとノアがいた。
「済まなかったな。」
「何が?」
「俺な判断が遅かった。こうなるくらいならもっと早くギルドに相談するべきだった。」
「それはあんたらが謝ることじゃないだろ。」
ライオは施設を見ていた。
「俺も孤児院出身でな。正直ここよりひどい環境だったよ。だから・・・迷った。」
「そうなんだ。」
アキナも施設を見ていた。
「少年には他の子供達と違って行先が用意されていなかった。」
「・・・え?」
ライオの言葉にアキナは驚く、その顔をみてライオは笑った。
「どうする少年?責任ある自由を得るか、あの車に乗ってみんなといるか。」
「俺は・・・」
「君はもうここにいなくてもよくなったんだ。」
アキナは辺りを見渡す。どうしたらいいか分からないようだった。
「ハンターになりませんか?」
アキナは再び驚く顔をした。ライオも少し驚き、ノアを見た。
「ノア?」
「大丈夫です。私が協力します。」
ノアがアキナに手を伸ばす。その手を見てから顔を上げ、ノアの目を見た。
「ここより奇麗な場所はある?」
アキナはノアの手を握り握手をし、空を見上げた。空には赤と緑と青と黄色の星が天井のように並んでいた。ノアもそれを見上げ、再びアキナの目を見た。
「いくらでもあるさ。」
「そっか、なら行きたいな。」
アキナは握手の手を放し、その手をポケットに入れる。
「おやじ・・・行ってくるよ。」
ポケットの中のタバコを握りつぶし、アキナの動かない頬を、涙が静かに流れた。
奇麗な星 伊流河 イルカ @irukawa
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