12-3 起床転落

日時

【四月二十六日 日曜日 十六時三十八分】

場所

【某県某市上空】

人物

【子守里】


「目覚めの存在が消失しました。」


 社日夕支部目室長久区理くくりは驚嘆の声を上げる。


「社本部に連絡。」


 間髪を入れず子守里が叫んだ。


「はいな。」


 社日夕支部霧猫子間ねこまが通信機を取る。


「日夕支部より本部、日夕支部より本部、緊急連絡。目覚めの消失を確認、至急作戦を中止されたし。繰り返す、目覚めの消失を確認、至急作戦を中止されたし。」


 しばし、息を呑む音さえ聞こえる程の沈黙が流れる。


「本部より日夕支部、本部より日夕支部。当方でも目覚めの消失を確認した。現時点を以て浄化を無期限延期とする。繰り返す、現時点を以て浄化を延期。」


 同時に割れんばかりの歓声がヘリの中を満たした。


「あの両抵抗やりやがったわ。」


 百目木が隣に座っていた等々木に抱きつく。


「君がそこまで喜びを素直に表現するのは非常に珍しいが、少々傷に痛む。」


 等々木が百目木から放り投げられた衝撃でヘリが揺れた。


「仲がいいのは結構だけど、じゃれ合いは地上に降りてからで頼む。」


 子守里がしばらくぶりに柔らかい表情見せる。

 しかし、その表情は直ぐに硬いものへと戻った。


「これからが大変だぞ。ヘリを地上に回してくれ。全職員へ帰還を通達。これより社日夕支部復興作戦を開始する。」

「はいな。」


 猫子間が返事をした。

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