第3話 最期の瞬間まで

僕を3番目に引き取った家族は老夫婦だった。

2番目に僕を引き取った茜さんと同様に僕に布は掛けずにテーブルとして僕を使っていた。

「お父さん」

「何だ」

「これを見て…」

僕の上に一枚の紙を置きおばあさんはおじいさんに泣きながら話をする。

そしておじいさんはおばあさんの話を聞いて苦しそうな…そして悔しそうな表情を浮かべていた。

僕がここに来てから一週間で起こった出来事だった。

おばあさんはこの日から度々家を空ける様になり、家に帰って来る度に弱っていった。

そして僕がここに来てから3年後おばあさんが亡くなった。

おじいさんは息子さんと一緒に暮らす事になり僕はまた用無しになった。

だが、いつもとは少し様子が違った。

息子さんは僕を解体し車に乗せ粗大ゴミとして僕を捨てに行ったのだった。

僕はその事実を今まで感じた事が無い程の熱さで燃やされている事に気付いた。

そして皆との日々が走馬灯となり蘇る。

"瑠璃ちゃん、茜さん。そして…おばあさん、おじいさんありがとう僕は幸せ物だったよ。"

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

こたちゃんの大冒険 椎名わたり @Si_nawaTri1010315

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ