俺、だけじゃない。

目が覚めるとそこには木製の天井があった。




どうやらベットに横になっているらしい。確かヘレナという修道女に転生してもらい、いまこの状況のはずだ。しっかり前世の記憶があることを確認した後、俺はあることに気がついた。




「デカい……」




てっきり赤子からやり直すのかと思っていたが、今の俺はそうでは無い。しっかりと腕も足も大人、と言うには少し厳しいが高校生並みにはあるみたいだ。


 


俺は身を起こし辺りを見渡す。木製の部屋は小さく、小机の上に置かれたランプとコップ、そして木製のベットが俺の向かい側にもう1つあるのみだ。


 


窓の外からは光がさし、賑やかな話し声が聞こえてきていた。いよいよ転生ライフが始まるんだ!




「うーん……眩しいですね……」


 


不意に向かい側のベットから声がした。どうやら誰かが寝ていたらしい。声の主が身を起こすと、ブロンドの髪と綺麗な顔の女性……ブロンドの髪の女性?




「あら?私、寝ていたの?」


 


そういった彼女は俺が1度見た事のある人だった。




「もしかして……ヘレナさん?」


「え?えぇ、私はヘレナですけど。あなたは?」


「俺ですよ!朝霧!朝霧ユウマです!」


「あさ……ぎり?」




ヘレナが覚えていないはずがない。ついさっき俺は彼女に転生をしてもらったのだから。まてよ、俺が転生したならなぜヘレナがここにいるんだ?




「あぁ、朝霧さんでしたか。なんで朝霧さんがここにいるんですか?確かあなたは転生して……あぁぁぁ!」


 


ヘレナは急に大きな声を出すとベットから飛び降りて俺の肩を揺さぶった。




「なんで朝霧さんがここにいるんですかぁ!」


「俺が聞きたいです!なんでヘレナさんがここにいるんですか。」




ヘレナはそう言われると、はっとしたように部屋を見渡し開けられた窓の外をみて愕然と膝をついた。




「どこなのよ、ここ……」


 


俺は窓の外をヘレナの後ろから覗き込んだ。




「うわぁ……!」




窓の外には思い描いていた通りの異世界の町が広がっていた。広い商店街を歩く人々。その中には騎士や、魔法使いのような人。商人もいれば半獣のような人もいた。正面の商店では剣らしきものが売られており、客が品定めをしていた。


 


そんな転生に感動している俺とは裏腹にヘレナは俯きながら呆然とした様子で。




「私まで……私まで……」


「ヘレナさん、大丈夫ですか?まさかとは思いますけど……」


「そのまさかですよぉ!なんで私まで朝霧さんと転生してるんですか!私、転生術師ですよ?こんなことありえないはずなのに、なんで私も転生してるんですかぁ!」


 


ヘレナは俺の足にしがみつくと、しくしくとなきだした。これはこれで嫌な気持ちはしないが、はたから見たらやはり変だったのだろう。




「あの……大丈夫そうですか?」


 


いつの間にか空いていた扉の向こうでは小柄な女性が立っていた。

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