俺、転生する。

光の中から姿を現したのは白い修道服に身を包んだ、ブロンドヘアの綺麗な女性だった。




「私はヘレナ、ヘレナ・オーヴェン=マーキュリーと申します。先程は姿を見せず申し訳ございませんでした。これからあなたの補佐として、転生手続き及び転生をいたします。」




 ヘレナはそういって俺に微笑みかけた。正直、女性耐性がない俺はドキッとしてしまった。




「では転生の手続きを始めましょう。」




 ヘレナがそう言うと部屋は真っ白の教会からいきなり宇宙空間のような場所へと変わった。




「こ、ここは?」




「転生の場、とでも言っておきましょうか。こっちの方が転生感があると思いまして。」




 ヘレナはいきなりイタズラっぽく俺に笑いかけた。




「まず、転生先を選んでいただきます。前世のような人間界かいわゆる異世界と呼ばれる世界。どちらがよろしいでしょうか?」




 俺はせっかくならと思い。




「異世界でお願いします。」




「では、転生の際のスキルですが、ランダムとなります。転生後にご確認ください。」




 異世界転生ってチート級のスキルとか持って魔王討伐とか思ってたけど、違うのか。俺は少しガッカリしてしまった。




「次に役職ですがこちらも転生後のランダムとなります。」




 これもランダムなのか……。


 ヘレナはしばらく転生の説明を俺にしてくれた。




「転生の説明は以上ですが、最後に何か持っていきたいものはありますか?」




「え……ちょっと待ってくだいね。」




 俺はしばらく考えた、持っていきたいものと言えばあまりない。しかし、持っていて便利なものは必要だ。ならば。




「前世の記憶って持っていけますか?」




「え?」




 この要求は予想外だったらしい。ヘレナは慌てた様子で俺を見た。




「前世の記憶ですか?えぇっと……。」




「持っていきたいんです。」




 というのも、俺は大して勉強ができるわけでもなかったが、唯一誇れるものがあった。読書量だ。他人から本の虫と呼ばれるほど本が好きで、その楽しかった記憶だけは留めておきたかったのだ。




 ヘレナは少し悩んだ末に。




「分かりました。許可します。」




 よし。これで転生後も記憶は残るな。




「では、転生していただきます。あなたの転生が良いものになりますように、お元気で。」




 俺はそう言われると光に包まれて次第に目の前が暗くなり俺は意識を失った。

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