王都エスカボークル

俺、教会に行く。

 俺が目を覚ますと真っ白な広い部屋の長椅子に座っていた。辺りを見渡すと、俺はそこが教会のような場所であることに気がついた。




「あぁ、ここが天国か。」




 俺はつい感心してしまった。


 すると不意に部屋の奥から透き通った女性の声がした。




「ここは天国ではありませんよ。」




 俺はその声にどこか聞き覚えがあったが、部屋の奥にはは光がさしており、声の主は見えなかった。




「ここは再生教会。不運にもあなたは死んでしまいましたが、ここであなたは転生出来るのです。」




 その声はどこか演技じみた声でそう言った。




「お、おれは死んだんですか?」




 俺は訳がわからなかった。




「そうですね。あなたは残念ながら死んでしまいました。」




 やはり死んでしまったのか。分かってはいたがやはりショックで俯いてしまった。




「ですが、あなたは人生をやり直す権利が与えられました。ここで転生してまた新たな人生を歩めるのです。」




 俺は耳を疑った。夢に違いない。これは夢だ。




「残念ながらこれは夢ではありませんよ。」




先ほどから心を読まれている気がする...




「では、お選びください。転生しますか?それともやめて天国へと行きますか?」




 俺はかなり悩んだ。転生してもまた大変な日常が待っているだけだ。天国はなんでも夢が叶うという。毎日好きなことをして、楽な生活をおくれるのだ。ならば天国だろう。でも、人生はやはり何だかんだ楽しい。また、転生して書店を開くのもありだろう。




「転生した場合、どこに行くのですか?」




「それは転生する際の運ですので、私では分かりません。」




 そうか……でも、そういうのが俺は大好きだ。何も分からないところから切り開かれていく世界が読書とそっくりで、俺は正直惹かれていた。




「転生でお願いします。」




「分かりました。では、私と手続きを済ませてしまいましょう。」




 そういってその声の主はゆっくりと近づいてきた。


 

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